呼吸器疾患肺気腫患者における肺理学療法の成績
【目的】呼吸不全は進行すると酸素療法, 肺理学療法が必要となる. 当院では過去7年間に各種呼吸器疾患に肺理学療法を施行してきた. 今回は肺理学療法の効果を肺気腫患者について検討したので報告する. 【方法】対象は慢性肺気腫86例である. 肺理学療法は6週間行い, さらに可能な限り継続した. 効果判定は自覚症状, 肺機能検査, 呼気ガス分析(POET), 呼吸筋力(Vitalopower), 12分歩行, 6分歩行試験により行った. 【成績】1.息切れは訓練1カ月以後では全例改善を認め, ADLが向上した. 2.肺活量(%VC 67から74%), 最大換気量が有意に増加した. PO_2 は66から...
Saved in:
Published in | リハビリテーション医学 Vol. 28; no. 11; p. 873 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.11.1991
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0034-351X |
Cover
Summary: | 【目的】呼吸不全は進行すると酸素療法, 肺理学療法が必要となる. 当院では過去7年間に各種呼吸器疾患に肺理学療法を施行してきた. 今回は肺理学療法の効果を肺気腫患者について検討したので報告する. 【方法】対象は慢性肺気腫86例である. 肺理学療法は6週間行い, さらに可能な限り継続した. 効果判定は自覚症状, 肺機能検査, 呼気ガス分析(POET), 呼吸筋力(Vitalopower), 12分歩行, 6分歩行試験により行った. 【成績】1.息切れは訓練1カ月以後では全例改善を認め, ADLが向上した. 2.肺活量(%VC 67から74%), 最大換気量が有意に増加した. PO_2 は66から71と有意の上昇, PCO_2 は45から42 mmHgと有意の低下を示した. 3.呼吸筋力は9例で呼気状態最大陽圧は不変, 吸気状態最大陰圧は40から52 cm H_2 Oと有意に増加した. 4.12分間歩行距離は30例で633から762 mと有意の増加を示した. 5.肺気腫8例の呼気CO_2 は訓練前, 後とも12分歩行で有意の上昇を示した. 6.健常者10例(62歳)の12分歩行後(1096 m)の酸素飽和度は有意の低下, 呼気CO_2 は有意の上昇を示した. 【結語】肺気腫患者は肺理学療法により自覚症状, 一部の肺機能および呼吸筋力の改善, 12分歩行距離の増加を認めた. 以上肺理学療法は肺気腫の基本的治療として重要である. <質疑応答> 水落和也(横浜市民病院):呼吸訓練の内容を教えて下さい(1回の時間, 1日の回数, 週に何日なのですか) 須藤守夫:呼吸訓練は1日1回1時間PTが行い, 腹式呼吸ができるようになると, 自主訓練を併用し, 歩行訓練も3, 6, 12分と毎日行っています. 全例入院例です. 高見順子(国療東京病院):肺理学療法が呼吸機能, 12分歩行量に著明な成果をあげた発表に敬意を表します. 12分間歩行距離に関しては直接の歩行訓練も廃用性下肢筋力低下を改善して効果があるという報告がありますがどうお考えですか. |
---|---|
ISSN: | 0034-351X |