健常成人の膝関節屈曲伸展角度判別能に与える筋収縮の影響

「目的」健常成人の膝関節屈曲伸展角度判別能を, 左右の膝関節角度を合わせる位置合わせ法を用いて測定し, 膝関節伸展運動に伴う筋収縮の有無が角度判別能に与える影響について検討した. 「方法」男性11名, 女性7名, 平均年齢42.2±15.4歳(22~74歳)の健常成人18名を対象に, 閉眼椅座位にて位置合わせ法による膝関節の角度判定能を測定した. 両下腿下垂位の開始肢位から右膝関節を他動的に設定角度に保持した後, 左膝関節を他動的にその角度に合わせるPPモード(以下PP)と, 自動的に合わせるPAモード(以下PA)の2通りの測定を行い, 左膝関節の合わせ角度を東大式角度計にて測定した. 設定角...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 12; p. 1027
Main Authors 藪越公司, 岩谷力, 関和則, 漆山裕希, 石塚雅治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1998
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」健常成人の膝関節屈曲伸展角度判別能を, 左右の膝関節角度を合わせる位置合わせ法を用いて測定し, 膝関節伸展運動に伴う筋収縮の有無が角度判別能に与える影響について検討した. 「方法」男性11名, 女性7名, 平均年齢42.2±15.4歳(22~74歳)の健常成人18名を対象に, 閉眼椅座位にて位置合わせ法による膝関節の角度判定能を測定した. 両下腿下垂位の開始肢位から右膝関節を他動的に設定角度に保持した後, 左膝関節を他動的にその角度に合わせるPPモード(以下PP)と, 自動的に合わせるPAモード(以下PA)の2通りの測定を行い, 左膝関節の合わせ角度を東大式角度計にて測定した. 設定角度は完全伸展位を0°とした時の30°, 45°, 60°の3種類とした. 各設定角度につき7同ずつ測定し, 統計学的検討を加えた. 「結果」各設定角度におけるPP,PAそれぞれの合わせ角度の平均は, 30°(34.8±6.6°, 27.8±4.7°, 45°(48.0±5.7°, 41.8±4.8°). 60°(61.0±4.2°, 55.0±5.6°)となり, 全ての設定角度において, PAの合わせ角度はPPのそれよりも有意に伸展位を示した. 「考察」他動的に設定された設定角度に対し, 合わせ側の筋収縮の有無が正常人の角度判別能に影響を与えることが示唆された. 合わせ側が自動運動を行う場合, 設定側と合わせ側の間に膝関節伸展筋を中心とした筋の活動量に顕著な差が生じることが予想される. その結果, 関節の角度判別に係わる情報量に左右不均衡が生じ, 筋活動に伴う合わせ側の情報量の増大が, 合わせ角度を伸展方向に偏位させたものと考えられる.
ISSN:0034-351X