低濃度HBs抗原陽性検体で検出されたHBs抗原・抗体共存例の解析
目的:今回われわれは, 低濃度HBs抗原陽性でHBs抗体も検出されたHBs抗原・抗体共存例について精査を行ったのでその結果を報告する. 方法:HBs抗原検査はRPHA法(日赤試薬)及びEIA法(AxSYM;アボット), HBs抗体検査はPHA法(日赤試薬, エーザイ)及びEIA法(AxSYM;アボット), HBs抗体検査はHI法(日赤試薬)で行った. ALT値はACA5200で測定した. 以下大阪センターの協力をえてHBs抗体の解析はサブタイプ既知の抗原による吸収試験により共存するHBs抗体の同定を試みた. HBVサブタイプの解析はHBVのs領域のうち233塩基(455~687)をPCR法によ...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 662 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.09.1998
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 目的:今回われわれは, 低濃度HBs抗原陽性でHBs抗体も検出されたHBs抗原・抗体共存例について精査を行ったのでその結果を報告する. 方法:HBs抗原検査はRPHA法(日赤試薬)及びEIA法(AxSYM;アボット), HBs抗体検査はPHA法(日赤試薬, エーザイ)及びEIA法(AxSYM;アボット), HBs抗体検査はHI法(日赤試薬)で行った. ALT値はACA5200で測定した. 以下大阪センターの協力をえてHBs抗体の解析はサブタイプ既知の抗原による吸収試験により共存するHBs抗体の同定を試みた. HBVサブタイプの解析はHBVのs領域のうち233塩基(455~687)をPCR法により増幅後DyeDeoxy terminater Cycle Sequencing法によりs領域の一部(462~678)の塩基配列を決定した. 結果と考察:HBs抗原はRPHA法陰性, EIA法陽性, HBs抗体はPHA法陽性, EIA法陰性であった. HBs抗体の結果の不一致は各試薬の使用抗原の差が影響していることが示唆された. この共存するHBs抗体は吸収試験の結果より抗r単独陽性であると思われる. HBVサブタイプの解析では, s領域の塩基配列よりadwと同定され, adw型のHBsAgキャリアがadr型のHBVに重感染した結果, 抗rの単独HBsAbを産生したものと考える. 今回の検討の問題点としてこの抗rは感染防御抗体にはならないことが報告されていることより, 抗原抗体共存例の存在を考え, HBs抗体検出用試薬の使用抗原の特異性については充分考慮する必要があると思われる. |
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ISSN: | 0546-1448 |