Chemotherapy+G-CSF 動員される末梢血幹細胞採取量予測の試み
【緒言】PBSCTを用いた大量化学療法において, PBSC採取時期の決定は, 従来経験にもとづいてなされる場合が多く, 採取量もCD34陽性細胞数の測定まで不明で, 臨床上困難さを覚える. 我々は, 当科においてauto-PBSCTを目的に施行したPBSC採取について, 採取前の末梢血幼若細胞(circulating immature cells, CIC)のPBSC採取量予測の指標としての有用性を検討したので報告する. 【対象および方法】対象は, 造血器腫瘍ならびに固形腫瘍, 計68例(AML4例, ALL2例, NHL27例, HD3例, 多発性骨髄腫(MM)6例, 肺小細胞癌(SCLC)...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 163 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1998
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【緒言】PBSCTを用いた大量化学療法において, PBSC採取時期の決定は, 従来経験にもとづいてなされる場合が多く, 採取量もCD34陽性細胞数の測定まで不明で, 臨床上困難さを覚える. 我々は, 当科においてauto-PBSCTを目的に施行したPBSC採取について, 採取前の末梢血幼若細胞(circulating immature cells, CIC)のPBSC採取量予測の指標としての有用性を検討したので報告する. 【対象および方法】対象は, 造血器腫瘍ならびに固形腫瘍, 計68例(AML4例, ALL2例, NHL27例, HD3例, 多発性骨髄腫(MM)6例, 肺小細胞癌(SCLC)12例, その他の固形腫瘍14例). 年齢は16~66歳(中央値46歳), 男女比は44:24であった. PBSC動員は, chemothrapy+G-CSFで行った. CIC数はMay-Giemsa染色を行った末梢血塗抹標本での骨髄芽球, 前骨髄球, 骨髄球, 後骨髄球, 赤芽球の比率を求め, 白血球数より算定し, CD34陽性細胞数はフローサイトメトリーで算定した. 【結果】採取細胞数は apheresis 1回あたり中央値, MNC3.43×10^8 /kg(0.95~10.47), CD34^+ cells 3.64×10^6 /kg(0.025~73.53)であった. 末梢血のCIC数は中央値1.38×10^3 /μL(0~27.59)であった. 全症例を対象にした場合, 採取CD34陽性細胞数とCIC数には有意な正の相関が認められた(r=0.723, p<0.01). また, PBSC採取前の末梢血WBC数が<1×10^4 /μLで採取した群, 1~2×10^4 /μLで採取した群, >2×10^4 /μLで採取した群に分け解析したが, いずれも有意な正の相関が得られた(r=0.701 p<0.01, r=0.736 p<0.01, r=0.644 p<0.01). 【結語】どのタイミングで採取をおこなっても採取前末梢血CIC数にて採取細胞中のCD34陽性細胞数の予測が可能であることが示唆された. CICは簡潔かつ迅速に, 日常の検査室業務で測定可能であり, これを測定することにより至適な採取日の決定を行うことができ, 不必要な apheresis を減らすことで患者負担が軽減され, 有用と考えられた. |
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ISSN: | 0546-1448 |