高齢者腰椎椎間板ヘルニアの臨床所見と病態

【目的】高齢者の腰椎椎間板ヘルニアの臨床像を検討した. 【対象および方法】1988~2003年に手術を施行した60歳以上の腰椎椎間板ヘルニア59例, 年齢60~89(71.1歳), 男性37例, 女性22例を対象とし, 臨床所見を調査した. 【結果】60-70歳代は男性が多かった. 脊柱所見は, 若年で前屈制限が多く, 加齢に伴い後屈制限が増加した. Kemp徴候と歩行障害は, 高齢者で高率にみられた. SLRT陽性は年齢とともに減少し, その下肢挙上角度は年齢増加に伴い増大した. ヘルニア横位は, 外側型ヘルニアの頻度が高かった. 【考察】高齢者で神経根絞扼徴候を高率に認め, 若年と比べAD...

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Published in日本腰痛学会雑誌 Vol. 11; no. 1; p. 220
Main Authors 瀬尾理利子, 久野木順一, 小林篤樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腰痛学会 30.09.2005
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ISSN1345-9074

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Summary:【目的】高齢者の腰椎椎間板ヘルニアの臨床像を検討した. 【対象および方法】1988~2003年に手術を施行した60歳以上の腰椎椎間板ヘルニア59例, 年齢60~89(71.1歳), 男性37例, 女性22例を対象とし, 臨床所見を調査した. 【結果】60-70歳代は男性が多かった. 脊柱所見は, 若年で前屈制限が多く, 加齢に伴い後屈制限が増加した. Kemp徴候と歩行障害は, 高齢者で高率にみられた. SLRT陽性は年齢とともに減少し, その下肢挙上角度は年齢増加に伴い増大した. ヘルニア横位は, 外側型ヘルニアの頻度が高かった. 【考察】高齢者で神経根絞扼徴候を高率に認め, 若年と比べADL障害が強かった. 高齢者の臨床的特徴の原因は, 加齢による圧迫要素と神経組織の変化によるものと考えた. 【結語】高齢者の腰椎椎間板ヘルニアでは, 絞扼型神経根障害をきたしやすく, combined steno-sisとして対応すべきだ.
ISSN:1345-9074