血性乳頭分泌を呈した乳腺血管腫の1症例

血性乳頭分泌を主訴とし, 画像診断上乳癌を疑った乳腺血管腫の1症例を経験したので報告する. 【症例】35歳, 女性. 【主訴】右乳頭よりの血性分泌【現症と経過】平成9年3月より, 右乳頭の血性分泌に気づき当院乳腺外来を受診した. 【既往歴】特記すべきことなし. 【局所所見】右乳房の乳頭に2カ所血性液の分泌孔を認め, 茶褐色の分泌液を確認した. 乳頭から3cm離れた外上にpress pointを認めた. 乳腺超音波検査ではpress pointの位置に一致して高輝度のエコー域を認めた. 乳管造影では乳管の途絶所見が得られた. 通常のMGでは腫瘤陰影を認めず, 乳頭分泌液の細胞診でも癌細胞を認めな...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 51; no. 6; p. 430
Main Authors 星野和男, 仲村匡也, 綿貫啓, 堤裕史, 黒住昌史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.11.2001
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ISSN1343-2826

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Summary:血性乳頭分泌を主訴とし, 画像診断上乳癌を疑った乳腺血管腫の1症例を経験したので報告する. 【症例】35歳, 女性. 【主訴】右乳頭よりの血性分泌【現症と経過】平成9年3月より, 右乳頭の血性分泌に気づき当院乳腺外来を受診した. 【既往歴】特記すべきことなし. 【局所所見】右乳房の乳頭に2カ所血性液の分泌孔を認め, 茶褐色の分泌液を確認した. 乳頭から3cm離れた外上にpress pointを認めた. 乳腺超音波検査ではpress pointの位置に一致して高輝度のエコー域を認めた. 乳管造影では乳管の途絶所見が得られた. 通常のMGでは腫瘤陰影を認めず, 乳頭分泌液の細胞診でも癌細胞を認めなかった. 以上から強く乳癌を疑ったが確診にいたらず, 乳腺区域切除の方針とし, 入院. 全身麻酔下に乳管を含む乳腺区域切除術を行った. 切除標本では, Press point部に一致して血液を含むのう胞状病変を認め, 病理組織学的に乳腺血管腫の診断を得た. 乳腺血管腫は乳腺腫瘍の0.4%と珍しい疾患であり, 画像診断上も時に乳癌との鑑別が難しく乳癌と誤診せぬ注意が必要である.
ISSN:1343-2826