気管支鏡下超音波検査(EBUS)による亜区域枝以下の癌深達度診断の問題点(2症例の経験から)

中心型肺癌の深達度診断において気管支鏡下超音波検査は有用である. しかし, 亜区域枝以下の気管支では軟骨構造を正確には同定することができず深達度診断が困難である. 術前にEBUSで軟骨を超える浸潤が疑われたが, 術後病理診断では表層浸潤型肺癌であった2症例を経験したので報告する. 症例1, 52歳男性, 胸部異常陰影精査目的で初診. 気管支鏡では, 左B6原発と考えられる扁平上皮癌で, 中枢側は上下幹分岐部から3軟骨輪, 末梢側は上幹が上下分岐部から8mm, 下幹はB9+10の入口部まで浸潤を認め, B6の末梢側は確認できなかった. EBUSでは, B6で軟骨層よりも深部に浸潤がおよんでいると...

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Published in気管支学 Vol. 24; no. 3; p. 243
Main Authors 林和, 坪井正博, 河野貴文, 梶原直央, 吉田浩一, 永田真一, 池田徳彦, 古川欣也, 奥仲哲弥, 中村治彦, 加藤治文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 15.04.2002
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ISSN0287-2137

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Summary:中心型肺癌の深達度診断において気管支鏡下超音波検査は有用である. しかし, 亜区域枝以下の気管支では軟骨構造を正確には同定することができず深達度診断が困難である. 術前にEBUSで軟骨を超える浸潤が疑われたが, 術後病理診断では表層浸潤型肺癌であった2症例を経験したので報告する. 症例1, 52歳男性, 胸部異常陰影精査目的で初診. 気管支鏡では, 左B6原発と考えられる扁平上皮癌で, 中枢側は上下幹分岐部から3軟骨輪, 末梢側は上幹が上下分岐部から8mm, 下幹はB9+10の入口部まで浸潤を認め, B6の末梢側は確認できなかった. EBUSでは, B6で軟骨層よりも深部に浸潤がおよんでいると判断し, 左スリーブ下葉切除を施行した. 術後病理診断は表層浸潤型肺癌であり軟骨層に浸潤は認めなかった. 症例2, 73歳男性, 胸部異常陰影精査目的で初診. 気管支鏡では, 右B8入口部原発の扁平上皮癌で, 末梢側は確認できなかった. EBUSでは, B8入口部は表層浸潤のみであったが, 末梢側に軟骨層を超える浸潤を認め, 右中下葉切除術を施行した. 術後病理診断は表層浸潤型肺癌であり, 気管支断端より4mmの部位から全周性にB8末梢胸膜直下の気管支まで表層浸潤を認めたが, いずれの部位も癌は気管支固有層にとどまっていた. 亜区域枝以下の気管支では軟骨構造を正確には同定することが難しく深達度診断には注意が必要であり, 何らかの工夫が必要である.
ISSN:0287-2137