変わる群馬のがん医療・変える群馬のがん看護

がん対策基本法に基づき, 群馬県のがん対策推進計画が2008年3月に策定された. 策定は, がん患者の立場からの視点を重視しており, 群馬県がん患者団体連絡協議会会長の本田攝子様, NPO法人日本がん患者協会理事長の山崎文昭様が策定委員に参画した. その成果として, 「がんサロン」「コールセンター」の設置が盛り込まれた. 群馬県の目標は, (1)がんによる死亡数の20%の減少, (2)すべてのがん患者およびその家族の不安や苦痛の軽減, 療養生活の質の維持向上である. 目標達成に向け群馬のがん医療が大きく変わりはじめている. がん体験者は, がんと言われたとき, 頭の中が真っ白になった. 突然も...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 58; no. 4; p. 411
Main Author 神田清子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.11.2008
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ISSN1343-2826

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Summary:がん対策基本法に基づき, 群馬県のがん対策推進計画が2008年3月に策定された. 策定は, がん患者の立場からの視点を重視しており, 群馬県がん患者団体連絡協議会会長の本田攝子様, NPO法人日本がん患者協会理事長の山崎文昭様が策定委員に参画した. その成果として, 「がんサロン」「コールセンター」の設置が盛り込まれた. 群馬県の目標は, (1)がんによる死亡数の20%の減少, (2)すべてのがん患者およびその家族の不安や苦痛の軽減, 療養生活の質の維持向上である. 目標達成に向け群馬のがん医療が大きく変わりはじめている. がん体験者は, がんと言われたとき, 頭の中が真っ白になった. 突然もたらされる不安, 悲しみ, こらえきれない嗚咽, そして押し寄せる孤独感. そんな苦しみを夜間の見回りにきた看護師が寄り添い対応してくれた「こころのサプリメントをもらいました」と語った. 看護職の仕事は効果が見えにくく, きっとがん看護に携わっている看護師もジレンマを抱えていることと思う. しかし, 看護の関わりでがん体験者が自分らしさを取り戻していく. それは看護の大きな成果であり, 看護師の喜びでもある. 看護の専門家として, ひとりひとりの気持ちを受け止め, 一緒に考える. 共に寄り添う. 質の高い支援をタイムリーに行う. 日々変化するがん医療, がん対策を理解し, がん患者・家族のニーズに応じた実践をすることでがん体験者にも変化が生まれ, 看護師も大きく成長する. しかし, 残念ながら昨年度施行した「地域で生活するがん療養者および看護師のニーズに関する調査」では, 看護師の43%が「がん診療連携拠点病院」が相談に応じる機能体制を持っているということを「全く知らない状況」であった. 本講演ではこれらを踏まえ, 1. がん対策基本法と群馬県のがん対策推進計画 2. 群馬県がん診療拠点病院について 3. がん療養者および看護師のニーズに関する調査結果について紹介し, 看護職の活動が群馬のがん医療を変える. がん看護の質の向上, 看護を変える力には, 看護職間のネットワーク形成, がん患者団体連絡協議会とのネットワーク形成, 多職種との協働とネットワーク形成が大きな鍵になることを皆さんと共に考えていきたい.
ISSN:1343-2826