IgA欠損献血者のHLA型
我々は献血者を対象にIgAスクリーニングを行い, 我が国のIgA欠損に関して調査してきた. 最近, 欧米においてIgA欠損とHLAの関係が指摘され, 病態にHLA-A1, B8, DR3のハプロタイプが密接に関与するという報告がある. しかし我が国ではIgA欠損者のHLAを検討した報告はない. そこで今回我が国におけるIgA欠損とHLAの関係を調査する目的でIgA欠損者のHLAを解析したので報告する. 【方法】 HI法により, IgA欠損と判定された献血者10名の末梢血液より比重遠心法にてリンパ球を分離し, 10%DMSOを用いて凍結保存した. 解析時・常法により解凍し, HLA class...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 265 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1999
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 我々は献血者を対象にIgAスクリーニングを行い, 我が国のIgA欠損に関して調査してきた. 最近, 欧米においてIgA欠損とHLAの関係が指摘され, 病態にHLA-A1, B8, DR3のハプロタイプが密接に関与するという報告がある. しかし我が国ではIgA欠損者のHLAを検討した報告はない. そこで今回我が国におけるIgA欠損とHLAの関係を調査する目的でIgA欠損者のHLAを解析したので報告する. 【方法】 HI法により, IgA欠損と判定された献血者10名の末梢血液より比重遠心法にてリンパ球を分離し, 10%DMSOを用いて凍結保存した. 解析時・常法により解凍し, HLA class I抗原は血清学的タイピングを, HLA class II抗原はDNAタイピングを行った. 【結果】 最も領度が高かった抗原は, A, B, DR座でそれぞれA24(60%), B7, 35, 54(20%), DR4(45%)であり, 欧米で報告されているHLA-A1, B8, DR3のハプロタイプは存在しなかった. 【結論および考察】 今回欧米で報告されたようなIgA欠損とHLAの関連は見られなかった. さらに今までに我々の行ったIgA欠損に関する調査により次の点が確認されている. (1)日本ではIgA欠損の頻度が低い. (2)IgA欠損者の抗IgA抗体保有率も低い. (3)IgA欠損者のリンパ球上には少ないながらもIgAが存在する可能性がある. したがってIgA欠損の病因は多様と思われ, 欧米における病態と異なる可能性があると考えられる. 今後, IgA欠損の機序をさらに検討する予定である. |
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ISSN: | 0546-1448 |