実験的肝癌における光感受性物質の肝臓内分布についての検討
<目的>新しい光感受性物質であるδアミノレプリン酸(ALA)を用いた光力学的治療(PDT)が肝癌治療の一つとして応用可能か否かを検討する目的で, ALA投与後のプロトポルフィリンIX(PpIX)の集積性を実験的肝癌における癌部と非癌部で比較検討した. <対象と方法>Fisher系雄性ラット(F344)5週齢にジエチルニトロソアミン(DEN)100ppm水溶液を11週間自由に飲水させた後2週間水道水で飼育し, 化学発癌モデルを作成した. この肝癌モデル群を用い, ALA投与なし, および, ALA500mg/kg経静脈投与1,3,4,6時間後の肝臓でPpIXの蛍光測定を行った. 蛍光強度は, 肝...
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Published in | 日本レーザー医学会誌 Vol. 20; no. 3; p. 295 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本レーザー医学会
28.09.1999
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ISSN | 0288-6200 |
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Summary: | <目的>新しい光感受性物質であるδアミノレプリン酸(ALA)を用いた光力学的治療(PDT)が肝癌治療の一つとして応用可能か否かを検討する目的で, ALA投与後のプロトポルフィリンIX(PpIX)の集積性を実験的肝癌における癌部と非癌部で比較検討した. <対象と方法>Fisher系雄性ラット(F344)5週齢にジエチルニトロソアミン(DEN)100ppm水溶液を11週間自由に飲水させた後2週間水道水で飼育し, 化学発癌モデルを作成した. この肝癌モデル群を用い, ALA投与なし, および, ALA500mg/kg経静脈投与1,3,4,6時間後の肝臓でPpIXの蛍光測定を行った. 蛍光強度は, 肝表面からPhotonic Multichannel Analyzcr-10(PMA-10, 浜松ホトニクス社製)を用いて測定する方法と, 組織抽出液を作成し分光光度計(FP-777)を用いて測定する方法の二種により評価した. すべての測定部は病理組織学的に検討を行った. コントロール群として, F344ラット18週齢を用い同一の条件で正常肝における蛍光測定を行った. <結果>1. 化学発癌モデルの肝臓にみられる癌および境界病変を, 病理組織学的にHepatocellular carcinoma(HCC), Atypical nodule(AN), Atypical nodule(HN), Foci of altered hepatocytes(FAH)に分類した. 2. ALA投与3時間後の肝臓において, 肝癌モデル群はコントロール群に比してPpIXの蛍光強度が高く, 肝癌モデル群では癌部で非癌部よりPpIXの集積性が高くなる傾向が認められた. これは, PMA-10とFP-777で同様の傾向であった. <結論>ALA-PDTが応用できる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0288-6200 |