中心性頸髄損傷の治療経過中に薬剤性パーキンソニズムを呈した精神分裂患者のリハビリテーション経験

「症例」52歳, 女性. 「疾患名」中心性脊髄損傷(C5), 多発骨折(骨盤, 両肩甲骨, 右前腕, 両足関節内顆, 尾骨). 「現病歴」精神分裂病で投薬されていた. 飛降りで受傷. 「既往歴」受傷前より右肘伸展制限65°. 「経過」鎮静終了後は積極的に運動療法を施行した. その後不眠が出現し, 精神科で抗精神病薬を開始, 増量されていった. 歩行は監視レベルにまで改善したがパーキンソニズムが出現・増悪し, 再度立位保持も不能となった. 精神科で精神分裂病の増悪と診断された自発性の低下と夜間不眠に対して, 我々は逆に訓練中は傾眠傾向であることから, 昼夜逆転とパーキンソニズムのアキネジアが主体...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. 1; p. 76
Main Authors 藤本幹雄, 杉原勝宣, 難波孝礼, 新舎規由, 石神重信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.01.2001
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ISSN0034-351X

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Summary:「症例」52歳, 女性. 「疾患名」中心性脊髄損傷(C5), 多発骨折(骨盤, 両肩甲骨, 右前腕, 両足関節内顆, 尾骨). 「現病歴」精神分裂病で投薬されていた. 飛降りで受傷. 「既往歴」受傷前より右肘伸展制限65°. 「経過」鎮静終了後は積極的に運動療法を施行した. その後不眠が出現し, 精神科で抗精神病薬を開始, 増量されていった. 歩行は監視レベルにまで改善したがパーキンソニズムが出現・増悪し, 再度立位保持も不能となった. 精神科で精神分裂病の増悪と診断された自発性の低下と夜間不眠に対して, 我々は逆に訓練中は傾眠傾向であることから, 昼夜逆転とパーキンソニズムのアキネジアが主体であると考え, 抗精神病薬の減量と車椅子上で日中の覚醒を促すこととした. 翌日に夜間不眠消失し, 5日後にはT杖で歩行が自立した. 86病日にADLがほぼ自立, 自宅退院となった. 「まとめ」重度依存症にかかわらずベッドサイドリハビリテーションを開始し, 良好な転帰を得た. 精神科で精神分裂病の増悪と診断された自発性の低下と夜間不眠に対して, 抗精神病薬の減量とリハによる生活管理で軽快した.
ISSN:0034-351X