下顎枝矢状分割術における骨の分割と骨片固定に関連して生じた偶発症の検討

「緒言」下顎枝矢状分割術は先天的, 後天的に発現する骨格性異常に対して, 顎口腔機能の改善を図る目的で行われており, 口腔外科手術を代表する主要な治療法の一つとして, 多くの施設で行われている1). 顎変形症の治療を希望する患者は若年者が多いことから, 入院時期や期間も制限されていることが多い. 偶発症の発生は入院期間の延長や再手術を必要とし, 患者との信頼関係を損なうような事態になりかねず, 可能な限り回避しなくてはならない. 下顎枝矢状分割術の偶発症には出血, 神経障害, 感染, 後戻り, そして骨の分割や骨片固定に関連するものなどが報告されている2). そこで, われわれは下顎枝矢状分割...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 21; no. 1; pp. 10 - 17
Main Authors 檀上敦, 野口信宏, 山下佳雄, 重松正仁, 近藤成智, 隅康二, 後藤昌昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.04.2011
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ISSN0916-7048

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Summary:「緒言」下顎枝矢状分割術は先天的, 後天的に発現する骨格性異常に対して, 顎口腔機能の改善を図る目的で行われており, 口腔外科手術を代表する主要な治療法の一つとして, 多くの施設で行われている1). 顎変形症の治療を希望する患者は若年者が多いことから, 入院時期や期間も制限されていることが多い. 偶発症の発生は入院期間の延長や再手術を必要とし, 患者との信頼関係を損なうような事態になりかねず, 可能な限り回避しなくてはならない. 下顎枝矢状分割術の偶発症には出血, 神経障害, 感染, 後戻り, そして骨の分割や骨片固定に関連するものなどが報告されている2). そこで, われわれは下顎枝矢状分割術を施行した患者における骨の分割と骨片固定に関連した偶発症例について調査し, その原因と対策について検討した. 「対象ならびに検討項目」対象は, 当科において1996年5月から2009年5月までの過去13年間に行われた下顎枝矢状分割術261例のうち, 骨の分割と骨片固定に関連して生じた偶発症11例とした.
ISSN:0916-7048