Duffy式血液型遺伝子の構造解析およびFy(a-b-)の遺伝子解析
Duffy式血液型はglycoprotein D(gpD)cDNAによってコードされ, 第44残基のコドンにおける1塩基置換によって生ずるアミノ酸置換がFy^a/b のエピトープを決定していることは, すでに明らかにした. cDNAから予想されるgpDの構造は, G蛋白結合受容体ファミリーのなかのIL-8レセプターに類似していることが明かにされており, コーディング領域にintronを欠くIL-8のGenome構造にも, 相似性が存在すると予想された. この予想に基づき, inverted PCR法を用いてそのGenomeの全構造を明かにし, いくつかの特徴を見いだした. また, Fy(a-b...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 6; p. 1002 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.12.1994
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | Duffy式血液型はglycoprotein D(gpD)cDNAによってコードされ, 第44残基のコドンにおける1塩基置換によって生ずるアミノ酸置換がFy^a/b のエピトープを決定していることは, すでに明らかにした. cDNAから予想されるgpDの構造は, G蛋白結合受容体ファミリーのなかのIL-8レセプターに類似していることが明かにされており, コーディング領域にintronを欠くIL-8のGenome構造にも, 相似性が存在すると予想された. この予想に基づき, inverted PCR法を用いてそのGenomeの全構造を明かにし, いくつかの特徴を見いだした. また, Fy(a-b-)においても遺伝子の解析を試みたので報告する. 〔材料および方法〕gpD cDNAをプローブに用い, Southern blottingを行ったところ, gpD遺伝子は1.1kbのSacl fragment, 1.9kbのEcoRI fragment, およびそれらにはさまれた47bpのfrgmentによって構成されていると予想された. 従って, Fy(a+b+)より得られたgenomic DHAをSaclあるいはEcoRIで消化後, T4 DNA ligaseを用いてself ligationを行い, これを鋳型にしてliverted PCRを行った. その結果, 予想どうりに5'flanking領域は1.1kb Sacl fragmentから増幅され, 3'flanking領域は1.9kb EclRI fragmentから増幅された. PCR産物はpGEM-T vetorにサブクローニングし, 塩基配列を解析した. 同様に, FY(a-b-)の1例のgpD遺伝子をサブクローニングし解析した. 〔結果および考察〕linverted PCRによって得られた, SaclおよびEcoRI fragmentはgpD cDNAの配列を含んでいたが, その配列にintronは存在せず, 1ExonでgpD cDNAはコードされていた. プロモーター配列にはTATAあるいはCCAAT boxは存在しなかったが, AP-1, HNF-1, TCF-1, Sp-1などの結合モチーフは認められた. Fy(a-b-)の解析ではcDNAをコードする配列には変異は認められなかった. しかし, 転写開始部位より-365番目にT→C置換を認めた. Fy(a-b-)ではgpD mRNAの発現が認められないとされており, この変異がどの様に関連しているのか, 現在さらに検討を行っている. |
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ISSN: | 0546-1448 |