75g OGTTに基づいた病型とHbA1c基準値―健診センターの立場からみたHbA1c基準値
「要旨」目的:健診に適したHBA1cの基準値を求めること. 方法:従業員の健診で尿糖陽性または空腹時血糖値110mg/dl以上に75grトレーラン負荷試験(OGTT)を行い, 平成11年からHbA1c測定を加えた. 平成10年からの4年間について, 基本的には年1回のOGTTを行い, 内, 正常型, 正常高値型, 境界型, 糖尿病型と, 空腹時血糖値140mg/dl未満および負荷2時間値240mg/dl未満の薬剤未治療域糖尿病を検討対象とした. 他病型への移行の有無により細分類し, 各群のHbA1cの分布, 平均値, 標準偏差を求めた. なおHbA1cの測定は免疫比濁法を用いた. 結果:対象は...
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Published in | 総合健診 Vol. 29; no. 5; pp. 899 - 903 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本総合健診医学会
10.09.2002
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ISSN | 1347-0086 |
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Summary: | 「要旨」目的:健診に適したHBA1cの基準値を求めること. 方法:従業員の健診で尿糖陽性または空腹時血糖値110mg/dl以上に75grトレーラン負荷試験(OGTT)を行い, 平成11年からHbA1c測定を加えた. 平成10年からの4年間について, 基本的には年1回のOGTTを行い, 内, 正常型, 正常高値型, 境界型, 糖尿病型と, 空腹時血糖値140mg/dl未満および負荷2時間値240mg/dl未満の薬剤未治療域糖尿病を検討対象とした. 他病型への移行の有無により細分類し, 各群のHbA1cの分布, 平均値, 標準偏差を求めた. なおHbA1cの測定は免疫比濁法を用いた. 結果:対象は延べ患者数946名, 延べ検体数1460であった. 正常型のHbA1cは4.7±0.3%, 正常高値型は4.8±0.3%, 境界型は4.9±0.4%, 糖尿病型は5.1±0.4%, 糖尿病は5.4±0.9%であった. 正常型に対し, 他病型はいずれも有意に高値であった(p<0.0005). また正常型は初回から2年連続, 他病型は4年間連続同型を保った群[A病型(-)]と他病型へ移行した群[A病型(B病型)]のHbA1cを比較した. 正常型(-)または正常高値型(-)に比べ, 正常型(境界型または糖尿病型)は有意に高値であった. また正常高値型[正常型または(-)]に比べ, 正常高値型[境界型, 糖尿病型, または糖尿病]は有意に高値であった. さらに境界型(-)および境界型[正常型および正常高値型]に比べ, 境界型[糖尿病型および糖尿病]は有意に高値であった. 正常型(-)のHbA1cは4.0~5.2%, 正常高値型(-)は4.2~5.4%, 境界型(-)は4.5~5.7%, 糖尿病は4.7~6.3%であった. 他病型(-)は正常型(-)とはいずれもp<0.0005で有意に高値であった. 考察:糖尿病に達していないうちは耐糖能異常の病態の変動は大きいが, HbA1cは予後の推定に役立つ. また終始正常型を呈する場合, すなわち健常者のHbA1cは4.6±0.3%(4.0~5.2%)であった. 結語:健診にHbA1cを使用する際, 5.3%以上では耐糖能異常を疑う必要がある. |
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ISSN: | 1347-0086 |