健常者における上肢F波の左右差に関する検討

【はじめに】F波パラメーターの左右差の正常値に関して, 記録回数の影響や身長補正の意義, 再現性などを検討した. 【対象・方法】対象は健常者34名(21~44歳, 平均29歳). 両側の正中および尺骨神経を被検神経とし, 手関節部に0.2 msecの矩形波(最大上)刺激を連続40回与えてF波を導出した. 皮膚温は32~35゜Cに保った. パラメーターには, 最小・最大・平均潜時, 波形持続時間, 出現率の5種類を用いた. 【結果】20回記録と40回記録での正中神経の最小潜時の左右差には有意差はなく, 他のパラメーターおよび尺骨神経においても同様であった. 以上よりF波記録回数は20回で十分と考...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 32; no. 12; p. 895
Main Authors 古川俊明, 豊倉穣, 村上恵一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1995
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ISSN0034-351X

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Summary:【はじめに】F波パラメーターの左右差の正常値に関して, 記録回数の影響や身長補正の意義, 再現性などを検討した. 【対象・方法】対象は健常者34名(21~44歳, 平均29歳). 両側の正中および尺骨神経を被検神経とし, 手関節部に0.2 msecの矩形波(最大上)刺激を連続40回与えてF波を導出した. 皮膚温は32~35゜Cに保った. パラメーターには, 最小・最大・平均潜時, 波形持続時間, 出現率の5種類を用いた. 【結果】20回記録と40回記録での正中神経の最小潜時の左右差には有意差はなく, 他のパラメーターおよび尺骨神経においても同様であった. 以上よりF波記録回数は20回で十分と考えられた. 身長補正値を用いた場合でも変動係数は変わらず, 値のばらつきを減少させるという意味で身長補正値の意義はなかった. 正常範囲は各パラメーターの平均値+2 SDの値を正常上限として設定したが, 対象者全例がほぼこの範囲に含まれ, さらに日を変えて再検査を行った10名の被検者の測定値もほぼすべての値が先に定めた正常範囲に含まれるものであった. 正常範囲に関しては, 潜時は1.5~2.0 ms, 持続時間は2.0~2.5 ms, 出現率は30~35%であり, 正常上限として妥当な値であると思われた.
ISSN:0034-351X