上腕三頭筋腱断裂に対する再建術

「はじめに」上腕三頭筋腱断裂をみることはまれであるが, 本損傷により上肢のADL障害をきたす. 我々は前腕伸筋群筋膜および大腿筋膜張筋腱を利用して上腕三頭筋腱を再建し, 良好な成績を得たので報告する. 「症例」症例1:43歳, 男性. 平成11年7月16日, 交通事故にて受傷. 左肘から上腕部後方にかけて広範な組織坐滅を認めた. 近医にて創処置のみ施行された. 左肘伸展不全が改善せず, 平成11年9月3日当科紹介となった. 上腕三頭筋腱の緊張を触知せず, 肘頭から上腕部後方にかけて多くの挫創や擦過傷の跡が認められた. 左肘は重力に抗しての伸展が不能であり, MMTで2レベルだった. 他動的可動...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 50; no. 3; pp. 795 - 797
Main Authors 牛島史雄, 加藤悌二, 山鹿眞紀夫, 薬師寺俊剛, 米村憲輔, 大串幹, 高木克公
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2001
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」上腕三頭筋腱断裂をみることはまれであるが, 本損傷により上肢のADL障害をきたす. 我々は前腕伸筋群筋膜および大腿筋膜張筋腱を利用して上腕三頭筋腱を再建し, 良好な成績を得たので報告する. 「症例」症例1:43歳, 男性. 平成11年7月16日, 交通事故にて受傷. 左肘から上腕部後方にかけて広範な組織坐滅を認めた. 近医にて創処置のみ施行された. 左肘伸展不全が改善せず, 平成11年9月3日当科紹介となった. 上腕三頭筋腱の緊張を触知せず, 肘頭から上腕部後方にかけて多くの挫創や擦過傷の跡が認められた. 左肘は重力に抗しての伸展が不能であり, MMTで2レベルだった. 他動的可動域は伸展0度, 屈曲137度と特に制限を認めなかった. 術前のレントゲンで, 上腕骨後方に異常性骨化と石灰化を認めた. 平成11年10月13日, 受傷3ケ月で, 上腕三頭筋腱再建術を施行した. 上腕三頭筋腱の欠損部は残存する腱様組織と瘢痕によって置換されており, 上腕骨へ強く固着していた.
ISSN:0037-1033