新生児低酸素性虚血性脳症と予後予測マーカー

新生児脳障害の改善は周産期医療の大きな問題の1つである. 新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)は成熟新生児の脳性麻痺の一因となっており, 治療の焦点は脳神経細胞がいかに護られるかに注がれている. 私たちは脳神経細胞内に存在する蛋白のいくつかに注目し, 神経細胞障害時には髄液中または血液中に逸脱するため, タイムリーな時期に検査を行うことで脳障害の程度と長期予後予測とともに, 障害部位を予測する研究を重ねて来た. その結果日齢5での髄液中神経特異性エノラーゼ(CSF-NSE)値が長期予後と極めて深い結果を得た. つまり治療の如何にかかわらず日齢5で20ng/mlを越えて高値であれば, 神経障害が予...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 32; no. 1; p. 35
Main Author 側島久典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 01.05.2006
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ISSN0386-5924

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Summary:新生児脳障害の改善は周産期医療の大きな問題の1つである. 新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)は成熟新生児の脳性麻痺の一因となっており, 治療の焦点は脳神経細胞がいかに護られるかに注がれている. 私たちは脳神経細胞内に存在する蛋白のいくつかに注目し, 神経細胞障害時には髄液中または血液中に逸脱するため, タイムリーな時期に検査を行うことで脳障害の程度と長期予後予測とともに, 障害部位を予測する研究を重ねて来た. その結果日齢5での髄液中神経特異性エノラーゼ(CSF-NSE)値が長期予後と極めて深い結果を得た. つまり治療の如何にかかわらず日齢5で20ng/mlを越えて高値であれば, 神経障害が予測される結果であった. ヒト正常NSE値を求める際にも使用検体の評価を厳しくし, アポトーシスと考えられる変化が得られた. 更に正常ラット髄液NSEではヒトとの間に同様の相関がある. 近年脳障害予測をする方法として様々な機器も開発されている.
ISSN:0386-5924