バレーボール選手に発生した脱出型腰部椎間板ヘルニアの1症例

症例は16歳, 男性. バレーボール部のレギュラー選手で国体選手クラス. 平成12年3月初旬より徐々に腰痛出現. 同年4月25日当院初診となる. 診察上, 下肢伸展テスト陰性でレントゲン上も明らかな椎間板動揺性も認めなかった. NSAIDsの内服療法及び下肢ストレッチ, 筋力増強訓練等にて経過観察. 約2ケ月後に腰痛は軽快. その後も同レベルのバレーボール選手に復帰していた. 平成14年6月14日及び15日の国体試合後より急に右下肢外側のしびれ感及び腰痛出現. 同年6月25日当院受診. 診察上, 右下肢伸展挙上20度で腰痛増強. Lockingあり. 右大腿部以下に5/10程度の感覚鈍麻を認め...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 4; p. 939
Main Authors 瀬形建喜, 森澤佳三, 國武克彦, 上園英嗣, 菊川憲志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2003
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ISSN0037-1033

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Summary:症例は16歳, 男性. バレーボール部のレギュラー選手で国体選手クラス. 平成12年3月初旬より徐々に腰痛出現. 同年4月25日当院初診となる. 診察上, 下肢伸展テスト陰性でレントゲン上も明らかな椎間板動揺性も認めなかった. NSAIDsの内服療法及び下肢ストレッチ, 筋力増強訓練等にて経過観察. 約2ケ月後に腰痛は軽快. その後も同レベルのバレーボール選手に復帰していた. 平成14年6月14日及び15日の国体試合後より急に右下肢外側のしびれ感及び腰痛出現. 同年6月25日当院受診. 診察上, 右下肢伸展挙上20度で腰痛増強. Lockingあり. 右大腿部以下に5/10程度の感覚鈍麻を認めた. MRI上, T1-high, T2-isoからlowの硬膜内髄外占拠性病変をL4/5レベルに認めた. Gdによる周辺の造影効果が軽度認められた. 脱出型椎間板ヘルニアの診断にて骨盤牽引などの保存的加療にて経過観察. 約1.5ケ月後には症状は軽快し前レベルのスポーツ活動に復帰した. 2ケ月後のMRI像ではヘルニア塊は消退していた. 早期復帰が望まれるスポーツ選手においても脱出型腰部椎間板ヘルニアに対しては, すぐに観血的療法を行うことなく保存的に対処することで比較的早期に消退する可能性があることが示唆された.
ISSN:0037-1033