筋強直性ジストロフィー患者における嚥下障害の経年変化

「目的」筋強直性ジストロフィー(以下MyD)患者の嚥下機能, とくに咽頭相の障害の経年変化を調べ, 他の機能障害の進行状態と比較検討する. 「対象と方法」当院に入院中のMyD患者12名(平均年齢54.3歳)を対象とした. 食事形態は米飯常菜10名, 全粥きざみ2名であった. ビデオ嚥下造影検査(以下VF)を年に1回の割合で合計3回実施し, 嚥下機能の経時変化を調べた. VF所見の評価は, 独自に作成した段階分類(I度:梨上陥凹残留なし, II度:梨上陥凹残留, III度:咽頭侵入, IV度:気管内流入)を用いて行った. また, 嚥下機能の増悪と, 運動障害(Swinyard stage), 呼...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; p. 1023
Main Authors 問川博之, 花山耕三, 安藤久恵, 石原博幸, 千野直一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1999
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」筋強直性ジストロフィー(以下MyD)患者の嚥下機能, とくに咽頭相の障害の経年変化を調べ, 他の機能障害の進行状態と比較検討する. 「対象と方法」当院に入院中のMyD患者12名(平均年齢54.3歳)を対象とした. 食事形態は米飯常菜10名, 全粥きざみ2名であった. ビデオ嚥下造影検査(以下VF)を年に1回の割合で合計3回実施し, 嚥下機能の経時変化を調べた. VF所見の評価は, 独自に作成した段階分類(I度:梨上陥凹残留なし, II度:梨上陥凹残留, III度:咽頭侵入, IV度:気管内流入)を用いて行った. また, 嚥下機能の増悪と, 運動障害(Swinyard stage), 呼吸障害(pCO_2 ,PEF), 嚥下と関連した自覚症状の変化, 肺炎の既往との関係についても検討した. 「結果」1)嚥下造影分類にて, 2年間でI度の進行を認めたものは4名であった(1度からI1度:1名, II度からIII度:1名, III度からIV度:2名). 2)検査上の嚥下障害の進行と, 運動障害, 呼吸障害, 自覚症状の変化との間には密接な関係を認めなかった. また, 検査上の誤嚥の有無と肺炎の既往との間にも一致した関係を認めなかった. 「考察」MyD患者の嚥下障害は緩除進行性であるが, 2年間でも進行例があること, また他の機能障害の推移とは密接な関係を認めないことから, 定期的にVFを実施することの意義が確かめられた.
ISSN:0034-351X