挿管困難症例に対しイメージガイド下気管内挿管法が有用であった2症例

予期せぬ麻酔導入時の気管内挿管困難例に対し, 様々な手技手法が試みられてきた. 今回我々は, イメージガイド下で, 喉頭鏡を用いた気管内挿管, および気管支ファイバースコープ(BF)を用いた気管内挿管を施行し, 挿管困難2症例に対して有用であったので報告する. 〔症例1〕52才女性平成10年6月, 交通外傷によるC6頸椎損傷に対し, 頸椎前方固定術(C5/6)が施行された. 平成11年6月, 慢性関節リウマチに対し, 全身麻酔下にて全人工骨頭置換術が予定された. 頸推前方固定術後のため, 頸部後屈可動制限が存在し, 挿管困難症例と判断し, イメージガイド下でのBFを用いた経鼻挿管を施行し, 問...

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Published in蘇生 Vol. 18; no. 3; p. 221
Main Authors 毛利昭郎, 佐々木健, 落合紀子, 夫萬秀, 太域力良
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 01.09.1999
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ISSN0288-4348

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Summary:予期せぬ麻酔導入時の気管内挿管困難例に対し, 様々な手技手法が試みられてきた. 今回我々は, イメージガイド下で, 喉頭鏡を用いた気管内挿管, および気管支ファイバースコープ(BF)を用いた気管内挿管を施行し, 挿管困難2症例に対して有用であったので報告する. 〔症例1〕52才女性平成10年6月, 交通外傷によるC6頸椎損傷に対し, 頸椎前方固定術(C5/6)が施行された. 平成11年6月, 慢性関節リウマチに対し, 全身麻酔下にて全人工骨頭置換術が予定された. 頸推前方固定術後のため, 頸部後屈可動制限が存在し, 挿管困難症例と判断し, イメージガイド下でのBFを用いた経鼻挿管を施行し, 問題なく気管内挿管が行えた. 〔症例2〕38才女性平成10年12月子宮筋腫に対し全身麻酔下に腹式単純子宮全摘術が予定された. プロポフォール, ベクロニウムにて麻酔導入後, 挿管操作を試みたがCormackのgrade IIIにて挿管困難と判断した. イメージガイド下に経口挿管を行い, トラブルなく気管内挿管が行えた. 〔方法〕イメージガイド下挿管法は, Cアームにて頚部正面像おいて声帯位置を確認しマーキングする. 続いて頚部側面像より, 舌骨, 喉頭蓋, 食道および声帯を確認し, 透視下に胃管を挿入し食道を確認する. 喉頭鏡を用い透視下にブレード先端を舌基底部と喉頭蓋の間に挿入し, 正面像にてマーキングした声帯方向に気管内チューブを進める事により気管内挿管が行える. またBF挿管の場合も透視下にて, スコープ先端を喉頭蓋と披裂軟骨の間まで挿入する事により, 容易に声帯が確認できる. 〔考察・結語〕今回, 挿管困難2症例に対し, イメージガイド下挿管法によりスムーズな気管内挿管が行えた事は, 挿管困難症例に対し有用な1手技と考えられた. またBF挿管の場合, 操作法の習熟, 経験および喉頭の解剖学を熟知しておく必要があるが, 透視下にて解剖を確認しながらのスコープの挿入はこれらをより容易にするものと考えられた.
ISSN:0288-4348