興味ある画像所見を呈した肺クリプトコッカス症の1例

症例は61歳, 女性. 1993年から原発性胆汁性肝硬変と橋本病, 1997年からシェーグレン症候群で当院内科に通院中であった. 1999年5月上旬よりチクチクとした胸部痛を自覚した. 胸部単純写真上異常影と腎機能の低下を認められたため, 精査目的で6月10日入院した. 外来でプレドニン10mg等を投与されていた. 胸部単純写真及びCT上, 右肺下葉末梢に空洞が数個あり, その辺縁は明瞭な部位と浸潤影様の不明瞭な部位からなっていた. これらは癒合傾向を示し, それに連続する拡張した気管支が認められた. 肺クリプトコッカス症は, 孤立腫瘤, 多発結節, 区域浸潤影を呈するものが典型的であるが,...

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Published in気管支学 Vol. 22; no. 1; p. 66
Main Authors 竹中大祐, 小島芳夫, 大野良治, 本山新, 足立秀治, 杉村和朗, 安田尚史, 横野浩一, 埴岡啓介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.01.2000
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は61歳, 女性. 1993年から原発性胆汁性肝硬変と橋本病, 1997年からシェーグレン症候群で当院内科に通院中であった. 1999年5月上旬よりチクチクとした胸部痛を自覚した. 胸部単純写真上異常影と腎機能の低下を認められたため, 精査目的で6月10日入院した. 外来でプレドニン10mg等を投与されていた. 胸部単純写真及びCT上, 右肺下葉末梢に空洞が数個あり, その辺縁は明瞭な部位と浸潤影様の不明瞭な部位からなっていた. これらは癒合傾向を示し, それに連続する拡張した気管支が認められた. 肺クリプトコッカス症は, 孤立腫瘤, 多発結節, 区域浸潤影を呈するものが典型的であるが, 免疫不全患者では, 多彩な像をし, 本症例では, 膠原病の治療のステロイド剤による免疫能の低下により, 特異的な形態を呈したものと考えられた.
ISSN:0287-2137