ABO不適合輸血防止を目的とした血液型シールの使用経験

ABO不適合輸血の原因のひとつとして患者取り違いがある. その予防策として, ベッドサイドで輸血を行う直前に血液型・患者氏名を確認する方法を確立し, 夜間でもスムーズかつ安全で安心感のある輸血を行うことを目的としたシールを作製した. 方法と対象:当病院入院患者を対象に本年10月1日から, 赤血球供給時に患者1名にシール1枚を添付して出庫した. 開始後, 評価できるほど時間は経過していないが, 医療従事者を対象にアンケート調査を実施した. シールは血液型で4つに色分けし, 血液型の文字は夜間でも視認できるよう蛍光塗料を塗布している. 血液型の下は患者氏名を記入する. このシールを輸血をつなぐ点滴...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 1; p. 37
Main Authors 佐野美幸, 飯野忠史, 中田弘, 二宗みのり, 藤井フサ子, 稲葉頌一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.02.2001
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ISSN0546-1448

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Summary:ABO不適合輸血の原因のひとつとして患者取り違いがある. その予防策として, ベッドサイドで輸血を行う直前に血液型・患者氏名を確認する方法を確立し, 夜間でもスムーズかつ安全で安心感のある輸血を行うことを目的としたシールを作製した. 方法と対象:当病院入院患者を対象に本年10月1日から, 赤血球供給時に患者1名にシール1枚を添付して出庫した. 開始後, 評価できるほど時間は経過していないが, 医療従事者を対象にアンケート調査を実施した. シールは血液型で4つに色分けし, 血液型の文字は夜間でも視認できるよう蛍光塗料を塗布している. 血液型の下は患者氏名を記入する. このシールを輸血をつなぐ点滴ルートの三方活栓の付近に貼り付けるようになっている. 結果:アンケートの結果, まだ時間が経過していないこともあり十分に浸透していないこともうかがえたが, 医療従事者の評価は良好で, 輸血事故に対する意識調査に関しては, 半数以上の医療従事者が意識を強めたと答えた. 一方, 患者のなかには, 安心している様子も見られるようであった. 改善案として, Rhの判別も可能にしたり, シールをベッドサイドにも貼るという意見が聞かれた. 考察:シールを作成しベッドサイドで使用を開始したが, それにより患者に安心感を与えるとともに, 医療従事者の輸血事故に対する意識を強めることになった.
ISSN:0546-1448