脳卒中における内反尖足変形に対する手術手技の工夫
脳卒中に伴う痙性の内反尖足変形に対し, 装具からの離脱と歩容の改善を目的として, 過去10年間に約150例の手術を行った. 手術は次の4要素からなる. 1. アキレス腱延長による尖足矯正. 2. 後脛骨筋腱延長による内反矯正. 3. 長母趾屈筋腱(以下FHL)および長趾屈筋腱(以下FDL)切離による槌趾矯正. 4. FHLとFDLの前方移行による内反尖足矯正である. しかし合併症や再発を起こすものがあったため, 次の3点で術式を改良した. 1)FDLは足底部で4本の腱に分岐する近位側で切離していたが, 槌趾変形が再発することがあった. そこでFDLに筋付着部をもつ足底方形筋もその筋腹で切離する...
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          | Published in | リハビリテーション医学 Vol. 35; no. 11; p. 852 | 
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| Main Authors | , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本リハビリテーション医学会
    
        18.11.1998
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| ISSN | 0034-351X | 
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| Summary: | 脳卒中に伴う痙性の内反尖足変形に対し, 装具からの離脱と歩容の改善を目的として, 過去10年間に約150例の手術を行った. 手術は次の4要素からなる. 1. アキレス腱延長による尖足矯正. 2. 後脛骨筋腱延長による内反矯正. 3. 長母趾屈筋腱(以下FHL)および長趾屈筋腱(以下FDL)切離による槌趾矯正. 4. FHLとFDLの前方移行による内反尖足矯正である. しかし合併症や再発を起こすものがあったため, 次の3点で術式を改良した. 1)FDLは足底部で4本の腱に分岐する近位側で切離していたが, 槌趾変形が再発することがあった. そこでFDLに筋付着部をもつ足底方形筋もその筋腹で切離するようにした. この操作を追加してからの槌趾再発はない. 2)FHLとFDLを前方移行する際皮下を通していたが, bowstringを生じてその部位の皮膚がすれ, 傷をつくることがあった. そこで必ず足関節前方の伸筋支帯の下をくぐらすようにした. 3)前方に移行したFHLとFDLは第4中足骨の基部でこれに巻きつけて縫合固定するが, 第4中足骨を露出する際骨膜下に剥離してしまうと, 移行腱による恒常的な圧迫によりその部位が圧痕様に細くなる例があった. 骨膜を温存することによりこれを防いだ. 以上のような手術手技の改良により良好な結果を得ている. | 
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| ISSN: | 0034-351X |