長崎県西海町の小児の口腔保健習慣と歯科衛生との関連

長崎県西海町は長崎県のなかでもう蝕の多い地区である. そのため西海町では子供のための健康21のなかで歯科保健の向上を掲げている. 今後の歯科保健政策策定のため, まず, 西海町の歯科衛生の実態を調査した. そのなかでいくつかの知見が得られたので報告した. 調査内容は歯科健診とアンケート, 対象者は町内の保育所幼稚園に在籍する3歳児全員, 町内4小学校の1, 3, 6年全員と2中学校の1年生全員である. 3歳児におけるdmf者率は66.2%, dmft指数は3.5であり, 長崎市(dmf者率43.4%, dmft指数1.9)と比較すると高い値であった. 特徴的であったのは, う蝕を5本以上有して...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 51; no. 5; p. 849
Main Authors 西山毅, 川崎浩二, 林田秀明, 田中景子, 矢野真理子, 飯島洋一, 新庄文明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔衛生学会 30.10.2001
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ISSN0023-2831

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Summary:長崎県西海町は長崎県のなかでもう蝕の多い地区である. そのため西海町では子供のための健康21のなかで歯科保健の向上を掲げている. 今後の歯科保健政策策定のため, まず, 西海町の歯科衛生の実態を調査した. そのなかでいくつかの知見が得られたので報告した. 調査内容は歯科健診とアンケート, 対象者は町内の保育所幼稚園に在籍する3歳児全員, 町内4小学校の1, 3, 6年全員と2中学校の1年生全員である. 3歳児におけるdmf者率は66.2%, dmft指数は3.5であり, 長崎市(dmf者率43.4%, dmft指数1.9)と比較すると高い値であった. 特徴的であったのは, う蝕を5本以上有している者は全体の28.4%であるのに対し, それらの者が総う歯数の71.3%を保有していることである. また, 乳歯の処置歯率は29.9%ときわめて低く小児のう蝕が放置されている現状がうかがえる. また, 小学1, 3, 6年, 中学1年生においてもDMF者率, DMFT指数ともに長崎市より高い値であった. 小学6年生において, う蝕を5本以上有している者は6年生全体の27.6%であるのに対し, 彼らが有しているう歯数の全体に占める割合は53.6%であった. 年代を問わず少数の者が多数の疾患を有していることがわかる. う蝕とアンケート調査, 検査との関連を統計学的に検討してみたところ, いくつかの関連は認められたが, 各年代で異なっており, 年代を超えた地域特性は認められなかった. 今後, 西海町の地域的特性のさらなる調査が必要であると同時に, う蝕発生要因を明らかにするためのコホート調査が実施されるべきである.
ISSN:0023-2831