受診に至った献血者の採血副作用

目的 献血者からの採血時には, 副作用を発生させないように努めている. 特に血管迷走神経反応(以下VVR)は採血事故につながりやすいので注意をしているが, 最近, VVRのために転倒した献血者が顔面を負傷するという事故を経験した. 再発防止を目的に過去の採血事故発生状況を調査したので報告する. 方法 平成9年4月から平成12年8月までに副作用を起こした献血者について, 採血記録, 副作用・事故報告書を分析検討した. 結果 期間中の副作用発生数は6,826例, 内訳はVVRが5,396例, 皮下出血1,216例, 神経触れ37例, その他177例であった. そのうち医療機関を受診したものは109...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 286
Main Authors 橘かおる, 式田睦子, 宮添伊佐子, 村上和子, 佐藤博行, 前田義章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.2001
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ISSN0546-1448

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Summary:目的 献血者からの採血時には, 副作用を発生させないように努めている. 特に血管迷走神経反応(以下VVR)は採血事故につながりやすいので注意をしているが, 最近, VVRのために転倒した献血者が顔面を負傷するという事故を経験した. 再発防止を目的に過去の採血事故発生状況を調査したので報告する. 方法 平成9年4月から平成12年8月までに副作用を起こした献血者について, 採血記録, 副作用・事故報告書を分析検討した. 結果 期間中の副作用発生数は6,826例, 内訳はVVRが5,396例, 皮下出血1,216例, 神経触れ37例, その他177例であった. そのうち医療機関を受診したものは109例で, VVRおよびVVRによる転倒のためが63例, 穿刺に係わるもの41例, その他5例であった. 受診して特に問題ないとされたものが82例, 治療を要した神経損傷が2例, その他3例で, 22例が転倒による外傷の治療が必要であった. そのうち6例は, 骨折や裂傷を伴い長期の治療を要した. 考察 VVRは移動採血で, 献血後に多く発生しており, 転倒は車内および献血が終わって車から降りて受付に行く間に発生している例がほとんどであった. VVRの発生がある限り転倒事故の危険性があるので, 事故防止のためにはまず可能な限りVVRを減少させなくてはならない. 献血者には採血副作用についても十分に理解していただくとともに, 看護婦だけではなく関係者すべてが, 献血者の安全を守るために採血環境を整え, 献血者への関わりや観察をより深めていくことが重要である.
ISSN:0546-1448