旭川医科大学における蘇生学の教育
近年, 麻酔の領域は急速に発展拡張し, 麻酔学は単に術中患者の管理のみを対象としたものではなく, 救急蘇生をはじめとし, 脳, 心, 肺, 肝, 腎などの各臓器の蘇生, さらに細胞レベルでの蘇生を含めた広い分野の学問となってきた. 重症患者に対する集中治療にしても畢竟, 臓器単位しいては細胞単位の蘇生を目的とした手段であり, 従来の麻酔学は麻酔・蘇生学に改められるべきとの考えから, 本学でも麻酔学講座の講座名変更申請を行い, 平成4年4月10日文部省から正式に認められた. 一方, 平成3年度から週休2日制の実施に向かっての, 教育カリキュラムの見直しと再編成が検討され, 教務委員会で各科目の講...
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Published in | 蘇生 Vol. 12; pp. 36 - 37 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
01.04.1994
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | 近年, 麻酔の領域は急速に発展拡張し, 麻酔学は単に術中患者の管理のみを対象としたものではなく, 救急蘇生をはじめとし, 脳, 心, 肺, 肝, 腎などの各臓器の蘇生, さらに細胞レベルでの蘇生を含めた広い分野の学問となってきた. 重症患者に対する集中治療にしても畢竟, 臓器単位しいては細胞単位の蘇生を目的とした手段であり, 従来の麻酔学は麻酔・蘇生学に改められるべきとの考えから, 本学でも麻酔学講座の講座名変更申請を行い, 平成4年4月10日文部省から正式に認められた. 一方, 平成3年度から週休2日制の実施に向かっての, 教育カリキュラムの見直しと再編成が検討され, 教務委員会で各科目の講義時間数の調整が行われた. この際に当講座では, 各科目とも持ち時間数を一様に減らすのでなく, 必要な講座に対してはむしろ増やす面も考慮すべきとの考えから, 救急蘇生学分として新たに12時間の講義時間数を要求し, これが認められた. こうして本学の麻酔学講座は名称が麻酔・蘇生学講座となったはかりでなく, 教科目も麻酔学(救急蘇生学を含む)となった. 教科内容の見直しと編成にあたってはできるだけ麻酔学と蘇生学の区分をはかった. 救命処置(BLS, ALS, PLS), 脳蘇生法, 呼吸不全の病態と呼吸管理, 人工呼吸法, 吸入療法, ショックの病態とその治療, 血液浄化法, 中毒治療, 高圧酸素療法, 熱傷患者の管理, DICなどは, 抵抗なく蘇生学の範時に入れた. 麻酔学と蘇生学の共通する項目(呼吸・循環の生理, 輸血・輸液, 体液・電解質・酸塩基平衡の管理など)ももちろんある. 関連する学科目との統合教育はこれらとは別に設けられている総合講義, 臨床講義の時間帯で行っている. 麻酔・蘇生学講座に改変したのち, 大学院医学研究科の授業科目でもこれまでの麻酔作用学特論に加えて, これとは独立した生体機能蘇生学特論を編制し, すでにこれまでに5名の院生がその履修を希望し, 履修している. |
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ISSN: | 0288-4348 |