同時性多発肺癌の一例
症例は77才男性. 平成5年5月13日一過性脳虚血発作を起こし, 同日の胸部X-Pで右下肺野に腫瘤陰影を指摘された. 胸部断層, CT, MRIで右中葉に5×5.5cmの辺縁比較的明瞭, 内部均一な不整形の腫瘤影と右下葉に5×4.5cmの辺縁不鮮明, 空洞を伴う腫瘤影を認めた. 縦隔リンパ節の腫大は認められなかった. 気管支鏡検査では右底幹に狭窄を認めたが, 気管支粘膜の変化は特に見られなかった. 同時に実施した末梢擦過細胞診で右中葉の腫瘤は小細胞癌, 右下葉の腫瘤は扁平上皮癌と判定された. 同時性多発肺癌として右中下葉切除術が行われた. 病理組織学的には右中葉の腫瘍は中分化から低分化腺癌,...
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| Published in | 気管支学 Vol. 16; no. 3; p. 305 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本気管支学会
01.05.1994
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0287-2137 |
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| Summary: | 症例は77才男性. 平成5年5月13日一過性脳虚血発作を起こし, 同日の胸部X-Pで右下肺野に腫瘤陰影を指摘された. 胸部断層, CT, MRIで右中葉に5×5.5cmの辺縁比較的明瞭, 内部均一な不整形の腫瘤影と右下葉に5×4.5cmの辺縁不鮮明, 空洞を伴う腫瘤影を認めた. 縦隔リンパ節の腫大は認められなかった. 気管支鏡検査では右底幹に狭窄を認めたが, 気管支粘膜の変化は特に見られなかった. 同時に実施した末梢擦過細胞診で右中葉の腫瘤は小細胞癌, 右下葉の腫瘤は扁平上皮癌と判定された. 同時性多発肺癌として右中下葉切除術が行われた. 病理組織学的には右中葉の腫瘍は中分化から低分化腺癌, 右下葉の腫瘍は腺扁平上皮癌と診断された. 肺の多発癌は全肺癌の2%前後を占め, その組織型は扁平上皮癌が絡んだ例が70~80%と報告されている. 本症例は腺癌と腺扁平上皮癌の同時性多発肺癌であり, 比較的頻度が少ないと思われ報告した. |
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| ISSN: | 0287-2137 |