下顎非対称症例にたいする骨切り術について

近年, 顎変形症に対する顎矯正手術は患者のニーズにより, かなり複雑性を増していると考えられる. 当科においても種々の手術法を選択し, 各症例に対応を試みている. そこで今回当科における顎変形症患者のうちで下顎非対称症例について臨床的検討を加えその概要を報告する. 症例は1988年6月から1996年8月までの8年2ヵ月間に顎変形症と診断され手術を施行した50症例のうち下顎非対称症例16症例とした. 手術法の内訳は, 下顎枝矢状切断法による症例が2症例, 下顎枝斜切断法による症例が11症例, これらの2つ手術法を組み合わせて施行したものが2症例, 下顎前方骨切り術(Kole法)が1症例であった....

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 7; no. 2; pp. 254 - 255
Main Authors 梅村昌宏, 大岩伊知郎, 河原康, 大音博之, 大林修文, 河合秀樹, 下郷和雄, 落合栄樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 31.10.1997
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ISSN0916-7048

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Summary:近年, 顎変形症に対する顎矯正手術は患者のニーズにより, かなり複雑性を増していると考えられる. 当科においても種々の手術法を選択し, 各症例に対応を試みている. そこで今回当科における顎変形症患者のうちで下顎非対称症例について臨床的検討を加えその概要を報告する. 症例は1988年6月から1996年8月までの8年2ヵ月間に顎変形症と診断され手術を施行した50症例のうち下顎非対称症例16症例とした. 手術法の内訳は, 下顎枝矢状切断法による症例が2症例, 下顎枝斜切断法による症例が11症例, これらの2つ手術法を組み合わせて施行したものが2症例, 下顎前方骨切り術(Kole法)が1症例であった. 当科では下顎骨の手術時の回転操作を必須とするような下顎非対称症例においては, 下顎枝を内外側的, 時に前後的な傾斜面で切断することによりいずれの方向にも移動回転が可能となる下顎枝斜切断法を汎用している. 下顎枝斜切断法は, 術前セファロ分析, 模型計測などによる診断から予定移動または回転方向に対し, 手術操作が簡便かつ迅速に施行可能であり, 移動後の下顎全体のひずみも最小限に留めることができる. また切断部の固定手段から術後の顎間固定期間の短縮にもつながり, 有用な方法であると考えている. 質問 東歯大, 2口外 鶴木隆 本術式は, どのような考え方に基づき, 行われたのか. 下顎枝矢状分割法と比較して利点および欠点は何か. 回答 名古屋第一赤十字病院, 口外 梅村昌宏 現在の下顎枝の形態より, また骨接合, 顎関節に対する応力などから, 斜切断術を選択しております. 追加 東歯大, 2口外 鶴木隆 手術法は, あらゆる変形に対し, 広く適用できるものでなくてはならない. 本術式の適用をよく考慮される事を希望する.
ISSN:0916-7048