本邦で検出されたボンベイ, パラボンベイ血液型の血清学的性状

(目的)本邦のボンベイ, パラボンベイの検出は, 抗体スクリーニングの精査から, また最近はUlex europeaus(抗H)レクチンを用いた抗原スクリーニングにより, 血液センター, 病院の検査室でも表裏不一致から検出されている今回これまでに検出された13名について(2家系を含む), 赤血球ABH抗原, 分泌型, その他の血清学的表現型につき, 精査を行った. この表現型に基づき, 遺伝子解析の材料とした. (方法)表検査の抗A, 抗Bは市販品, 抗Hは10%Ulex europeaus種子より抽出後に遠心, 上清に冷エタノールを40%に加え1夜4℃に静置後冷却遠心, 沈層にPBSを加え,...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 221
Main Authors 岩崎裕子, 西原祥子, 成松久, 瀬尾たい子, 大久保康人, 横石文夫, 横田敏和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1997
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ISSN0546-1448

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Summary:(目的)本邦のボンベイ, パラボンベイの検出は, 抗体スクリーニングの精査から, また最近はUlex europeaus(抗H)レクチンを用いた抗原スクリーニングにより, 血液センター, 病院の検査室でも表裏不一致から検出されている今回これまでに検出された13名について(2家系を含む), 赤血球ABH抗原, 分泌型, その他の血清学的表現型につき, 精査を行った. この表現型に基づき, 遺伝子解析の材料とした. (方法)表検査の抗A, 抗Bは市販品, 抗Hは10%Ulex europeaus種子より抽出後に遠心, 上清に冷エタノールを40%に加え1夜4℃に静置後冷却遠心, 沈層にPBSを加え, 溶解後冷却遠心, 凍結乾燥を行い, 4℃保存. 使用時計量しPBS(pH7.2)に溶解した. 吸着解離試験の吸着は, 洗浄後血球沈層0.5mlに上記抗H(A1=1:16)を0.5ml加え, その上にPBSを10ml加え撹拌後室温1時間静置, 4℃1夜静置した. 解離は上清を除き血球を4回洗浄後, 0.5mlのPBSを加え良く撹拌し4℃に5分静置後, 50℃恒温層で試験管を7分間撹拌を継続した後, 試験管の底部の水を拭い3000rpm5分遠心, 上清解離液についてA, B, Oと自己の各血球との反応を室温ついで40℃10分で判定した. 裏検査は, 自己血球を5回洗浄しアルセバーに3%に浮遊させて用いた. AB型転移酵素は, 大塚製薬製を用いた. (成績と考察)今回検査できた内訳は, Ohは2例, Oh(A)は1例, Omhは家系外3名, Omh(B)1名, Ah2名, Bh2名, ABh1名であった. Omh(B)は, 血清中の抗HIが強いため, ガルサーブによる転移酵素は測定できずOmhと記録されていたが, EIA法によりB転移酵素を証明しOmh(B)と判明した. このように, いろいろのtypeがあり, 血清中の抗体が抗Hか抗HIか, またLeiws型で分泌型か否かに留意すると抗Hは, 非分泌, 抗HIは分泌, とその関係が再確認できた. これらのすべてのvarietyのある表現型を説明するためには, H, Se, Le遺伝子の解析が必要とされる. その結果については, 次演題で述べる.
ISSN:0546-1448