脳卒中による半側空間無視の机上検査法の検討

【目的】半側空間無視を呈する脳卒中患者に机上検査を施行し, 有用な検出法や各検査間の関係, 半側空間無視とその随伴する神経症状との関係を検討した. 【対象】半側空間無視を呈した右半球損傷患者114例で, 男性65例, 女性49例, 年齢は17~84歳である. 原因疾患は脳梗塞63例, 脳出血32例, クモ膜下出血11例, その他10例であった. 発症からの期間は平均17.8±33.9カ月であった. 【方法】一般神経学的検査, 精神機能評価尺度長谷川式スケール, 仮名ひろいテスト, 語想起, 数唱などの神経心理学的検査を施行した. 半側空間無視は線分二等分検査, 線分抹消検査をはじめ12項目の机...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 29; no. 11; pp. 893 - 894
Main Authors 前島伸一郎, 桑田俊和, 上松右二, 尾崎文教, 船橋利理, 板倉徹, 駒井則彦, 重野幸次, 長谷川恒雄, 種村純, 土肥信之, 梶原敏夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.11.1992
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】半側空間無視を呈する脳卒中患者に机上検査を施行し, 有用な検出法や各検査間の関係, 半側空間無視とその随伴する神経症状との関係を検討した. 【対象】半側空間無視を呈した右半球損傷患者114例で, 男性65例, 女性49例, 年齢は17~84歳である. 原因疾患は脳梗塞63例, 脳出血32例, クモ膜下出血11例, その他10例であった. 発症からの期間は平均17.8±33.9カ月であった. 【方法】一般神経学的検査, 精神機能評価尺度長谷川式スケール, 仮名ひろいテスト, 語想起, 数唱などの神経心理学的検査を施行した. 半側空間無視は線分二等分検査, 線分抹消検査をはじめ12項目の机上テストを施行した. その他の神経心理学的症状としてmotor impersistence, 着衣障害, 病態失認, 半側身体失認について検討した. 【結果および考察】12項目の検査の中で症候検出率の最も高い検査法は, 立方体模写であり, 次いで線分抹消検査, 錯綜図の認知と単一の検査でも高率に異常を認めた. これらの検査法を用いて, 立方体模写と線分二等分検査, 線分抹消検査の3課題, あるいは立方体模写と線分二等分検査, ぬり絵の3課題を施行すれば, ほぼ全体の99.1%を検出でき, これらの4項目をすべて行えば, 全例を検出することがわかった. また, それぞれの検査間での相関を検討したところ, いずれの検査も高い相関を認めた. <質疑応答> 石合純夫(東京都神経研):立方体模写障害の診断基準をお教え下さい. 前島伸一郎:立方体模写は構成障害の要素が出現するため, 判定する際にむずかしいものがあることは確かである. 今回は半側の見落としに着目して重症度化を行った. 伊藤秀樹(富山赤十字病院):訓練期間によりテストで陰性であっても, 日常生活上, 無視症状をみる例が多いが, 先生のテスト項目は時期によらず検出率が高いといえるでしょうか. 前島伸一郎:経過中に半側空間無視の改善した例は多くみられたが, 消失例はなかった. 前田真治(座長):主成分分析においてFactor 2のもつ質的な差とはどのようなものか.
ISSN:0034-351X