慢性末梢動脈閉塞症により腓骨神経麻痺をきたした1症例

症例は30年来の糖尿病と喫煙歴がある80歳男性. 平成8年に右被殻出血による左不全片麻痺を呈した. 左上肢の運動麻痺は正常に回復したが, 左下肢の腫脹と血色不全と足関節の背屈の低下を認めた. 動脈造影で, 右は膝窩動脈は90%, 前脛骨動脈0%, 後脛骨動脈100%であり, 腓骨動脈は100%の, 左は膝窩動脈は0%, 前脛骨動脈100%, 後脛骨動脈100%であり, 腓骨動脈は50%の血管の狭窄を認めた. 両下肢ともに側副動脈の発達は良好であり, 足背動脈のドップラー血圧測定では, 右が157mmHg, 左が163mmHgと良好であった. 後脛骨の神経の運動伝達速度は右は34m/secで,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 5; pp. 359 - 360
Main Authors 北村純一, 大矢亜野, 穐山尚子, 矢部きのみ, 竹内孝仁, 朽方規喜, 日置正文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.05.1997
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ISSN0034-351X

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Summary:症例は30年来の糖尿病と喫煙歴がある80歳男性. 平成8年に右被殻出血による左不全片麻痺を呈した. 左上肢の運動麻痺は正常に回復したが, 左下肢の腫脹と血色不全と足関節の背屈の低下を認めた. 動脈造影で, 右は膝窩動脈は90%, 前脛骨動脈0%, 後脛骨動脈100%であり, 腓骨動脈は100%の, 左は膝窩動脈は0%, 前脛骨動脈100%, 後脛骨動脈100%であり, 腓骨動脈は50%の血管の狭窄を認めた. 両下肢ともに側副動脈の発達は良好であり, 足背動脈のドップラー血圧測定では, 右が157mmHg, 左が163mmHgと良好であった. 後脛骨の神経の運動伝達速度は右は34m/secで, 左は33m/secと低下はしてたが出現を認めた. 膝窩部刺激による腓骨神経の運動神経伝達速度は右は38m/secであったが, 左は誘発波を認めなかった. 腓骨神経麻痺は前脛骨動脈の閉塞により虚血性神経障害のためにきたしたと推測された.
ISSN:0034-351X