血痰を主訴に発見された甲状腺癌の1例

症例は61歳, 男性. 主訴は咳嗽, 血痰. 胸部レ線で明らかな異常影を認めず, 気管支鏡にて気管上部右側壁に毛細血管の怒張を伴う隆起性病変を認めた. 気管支動脈造影では異常血管を認めず, 胸部CTでは, 気管上部の変形を認めた. 気管上部を中心にthin section CTを再検したところ, 甲状腺右葉に径15 mm程度の腫瘤を認め, 気管への浸潤も認めた. 外科にて甲状腺の吸引細胞診を行ったが陰性であったため, 気管支鏡下に生検し, 甲状腺癌(papillary carcinoma)と診断した. 甲状腺右葉摘出・気管合併切除を行い, 耳介軟骨にて気管の切除部を閉鎖した. 術後1年の気管支...

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Published in気管支学 Vol. 23; no. 6; pp. 576 - 577
Main Authors 木村智樹, 若原恵子, 大橋能理, 水谷宏, 進藤丈, 堀場通明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.09.2001
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は61歳, 男性. 主訴は咳嗽, 血痰. 胸部レ線で明らかな異常影を認めず, 気管支鏡にて気管上部右側壁に毛細血管の怒張を伴う隆起性病変を認めた. 気管支動脈造影では異常血管を認めず, 胸部CTでは, 気管上部の変形を認めた. 気管上部を中心にthin section CTを再検したところ, 甲状腺右葉に径15 mm程度の腫瘤を認め, 気管への浸潤も認めた. 外科にて甲状腺の吸引細胞診を行ったが陰性であったため, 気管支鏡下に生検し, 甲状腺癌(papillary carcinoma)と診断した. 甲状腺右葉摘出・気管合併切除を行い, 耳介軟骨にて気管の切除部を閉鎖した. 術後1年の気管支鏡検査にて, 再発・切除部の狭窄は認めていない.
ISSN:0287-2137