溶血性尿毒症性症候群

演者らは, 以前より治療的Plasmapheresis(TxPP)を中心とする治療的Haemapheresis(TxHP)に積極的に取り組み, 倉敷中央病院血液治療センターを中心に, 約140症例, 1000回を経験している. 症例は, 出生直后の新生児(敗血症, DIC)から, 90歳の老人(術后肝不全)に及び, 妊婦例(重症D感作妊娠)から, 人工呼吸管理下例(劇症肝炎等)に至る様々の状態の患者に, 手技上の重大な問題を生じさせることなく実施してきた. 演者らは, TxHP, 特にTxPPは, (1)有毒物質の確実かつ速やかな除去, (2)有用物質の大量の補充, を可能にするものとして,...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 35; no. 2; p. 186
Main Authors 上田恭典, 藤田篤史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1989
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ISSN0546-1448

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Summary:演者らは, 以前より治療的Plasmapheresis(TxPP)を中心とする治療的Haemapheresis(TxHP)に積極的に取り組み, 倉敷中央病院血液治療センターを中心に, 約140症例, 1000回を経験している. 症例は, 出生直后の新生児(敗血症, DIC)から, 90歳の老人(術后肝不全)に及び, 妊婦例(重症D感作妊娠)から, 人工呼吸管理下例(劇症肝炎等)に至る様々の状態の患者に, 手技上の重大な問題を生じさせることなく実施してきた. 演者らは, TxHP, 特にTxPPは, (1)有毒物質の確実かつ速やかな除去, (2)有用物質の大量の補充, を可能にするものとして, 症例に合わせた方法の選択により, 第一義的に, 緊急かつ救急の治療法として非常に有効であると考えていふ近年TTPについては, その病因は未だ不明ではあるものの, FFPによるPlasma exchange(PE)が有効であるとされている. 最近我々は, TTPの近縁疾患とされる溶血性尿毒症性症候群(HUS)の小児例を経験し, FFPを用いたPEを施行し有効であった. 以下に症例の概略を述べる. 症例:T. K. 4歳, 18kg, 男性. 主訴:ケイレン, 意識障害. 既往歴:特記すべきものなし. 現病歴:下痢にて発症, 下痢は次第に頻回淡血性となり, 発熱を伴う. 近医に腸炎として入院, 約2日後より, 意識障害, ケイレン, 尿毒症, 貧血が出現し, HUSの疑にて倉敷中央病院小児科へ転院となる. 転院時, WBC2400/立法ミリメートル, Hb8.3g/dl, PLT15.6×10^4 /立法ミリメートル(翌日4.3×10^4 /立法ミリメートル), PT13sec(cont10.7), APTT38.8sec(27.4), FDP1558IU/L, AT-III89.8%, T-Bil1.9mg/dl, BUN79mg/dl, CRN4.2mg/dl, LDH10100IU/L. 病歴:検査成績より, 病因の主体はHUSと診断し, アスピリン, ベルサンチン併用下にCOBE2997Dual Stage Channelにて, FFP15μ~20μを用い, 計4回のPEを施行, また人工透析を14回施行し, 約5日間のケイレンを伴う深昏睡, 7日間の無尿, 18日間の乏尿期を経て, 意識, 腎機能ともに回復した. 本症例を例にHUSの病態, TTPとの異同, HUSの治療法としてのPEの意味付け有効性等につき検討する.
ISSN:0546-1448