重度身体障害者更生援護施設の現況について

「目的」香川県では1986年に身体障害者医療センター, 更生相談所, 福祉センター, 重度身体障害者更生援護施設(以下重更)を統合して, 当センターを開設した. 我々は, 当初より重更入所者の判定業務に携わっており, 今回, 重更の現況について調査した. 「対象および方法」1986年~1996年の入所者は207名(男154名, 女53名)であり, 退所者は173名(男124名, 女49名)である. 入所者については入所前の生活状況, 年齢, 性別, 原疾患名, 障害度などを, 退所者については更生状況と更生状況に影響すると考えられる因子について調査した. 「結果」重更入所者は病院からの直接入所...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 12; p. 951
Main Authors 角南勝利, 近藤陽一郎, 高橋右彦, 寺井祐司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1997
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」香川県では1986年に身体障害者医療センター, 更生相談所, 福祉センター, 重度身体障害者更生援護施設(以下重更)を統合して, 当センターを開設した. 我々は, 当初より重更入所者の判定業務に携わっており, 今回, 重更の現況について調査した. 「対象および方法」1986年~1996年の入所者は207名(男154名, 女53名)であり, 退所者は173名(男124名, 女49名)である. 入所者については入所前の生活状況, 年齢, 性別, 原疾患名, 障害度などを, 退所者については更生状況と更生状況に影響すると考えられる因子について調査した. 「結果」重更入所者は病院からの直接入所が大多数を占め, 原疾患では脳血管障害が55%と最も多かった. 身体障害者手帳の等級では2級所持が46%と最も多く, 1級所持が40%であった. 退所後は家庭復帰が69%, 施設入所が23%, 病院が7%, その他1%であった. 就職できた者は30名(17%)であった. 更生状況には障害の程度, 介護者の有無などの社会的要因, 原疾患の悪化などが関与していた. 「まとめ」重更は身体障害者にとって病院から家庭, そして職場への架け渡し的な役割を果たしている. しかし, 本当の意味で家庭復帰, 職場復帰できた者は少なく, 何らかのhandicapを背負った障害者が, 自立できるような更なる支援体制の充実が望まれる.
ISSN:0034-351X