人工股関節置換術・大腿骨頭置換術を施行した患者に対する術前術後のADL指導について

人工股関節手術後の患者は, 脱臼防止のため肢位を制限する必要があり, 術後のADL指導は重要である. 今回我々は術前術後にOTを施行し, 各々のADLを評価・検討したので報告する. 「対象」平成10年11月から13カ月間に人工股関節手術の前後にOTを施行した18例を対象とした. 年齢は50~78歳(平均66.1歳)で, 疾患名は変股症15, 大腿骨頭壊死症3例, 施行手術は人工股関節15例(再置換1例), 人工骨頭3例であった. 大腿骨頸部骨折, RA, 両股の手術を施行した患者は除外した. 「方法」施行訓練回数, 理解度, 入院日数, 入・退院時のADLをBarthel index(BI)お...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 11; p. 822
Main Authors 鴻上繁, 沖貞明, 山本晴康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:人工股関節手術後の患者は, 脱臼防止のため肢位を制限する必要があり, 術後のADL指導は重要である. 今回我々は術前術後にOTを施行し, 各々のADLを評価・検討したので報告する. 「対象」平成10年11月から13カ月間に人工股関節手術の前後にOTを施行した18例を対象とした. 年齢は50~78歳(平均66.1歳)で, 疾患名は変股症15, 大腿骨頭壊死症3例, 施行手術は人工股関節15例(再置換1例), 人工骨頭3例であった. 大腿骨頸部骨折, RA, 両股の手術を施行した患者は除外した. 「方法」施行訓練回数, 理解度, 入院日数, 入・退院時のADLをBarthel index(BI)およびFIMのうちセルフケアの3項目(清拭, 下半身更衣, トレイ動作), 移動, 移乗(計8項目, 満点56)を評価した. 「結果」平均訓練回数は術前PT 9.50, OT 4.65, 術後PT 37.0, OT 9.94回であった. 術前の理解度は良12, 不十分5, 不良1例で, 不十分・不良例のうち各1例が退院時に理解度が改善した. ADLはBIで術前60~100(平均83.6), 術後80~100(92.6)と, FIMで術前28~55(42.2), 術後44~53(49.0)と向上した. 転帰は自宅退院11例, リハ転院7例で平均術後入院日数は70.8日(37~106日)であった. 「まとめ」股関節手術をする患者に術前からOTによるADL評価・指導を行うことは, 術後のリハを円滑に進行させ, 患者のQOL向上をはかり自宅退院を援助することにつながり, 重要なことである.
ISSN:0034-351X