放射線治療後にみられた皮質骨亀裂所見
目的:口腔癌放射線治療患者にみられた皮質骨亀裂所見の意義の考察. 対象:1993年1月から1998年12月の間に本学放射線科にて放射線治療された頭頸部悪性腫瘍61症例のうち当科にてCTで1年以上経過観察された31症例を対象とした. 方法:CTにて皮質骨に平行に走行する線状の骨濃度の消失が出現したとき皮質の亀裂ありと定義した. 亀裂を認めた症例をCTで亀裂部位, 周囲解剖構造との関係, 出現前後の周囲の骨変化について評価し, それに臨床的所見として原発部位, 照射法, 線量, 線源, 照射から出現までの期間, 手術法, 放射線骨壊死(以下骨壊死)の有無について検討を加えた. 結果:放射線治療後に...
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| Published in | 歯科放射線 Vol. 40; no. 2; p. 178 |
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| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本歯科放射線学会
30.06.2000
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0389-9705 |
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| Summary: | 目的:口腔癌放射線治療患者にみられた皮質骨亀裂所見の意義の考察. 対象:1993年1月から1998年12月の間に本学放射線科にて放射線治療された頭頸部悪性腫瘍61症例のうち当科にてCTで1年以上経過観察された31症例を対象とした. 方法:CTにて皮質骨に平行に走行する線状の骨濃度の消失が出現したとき皮質の亀裂ありと定義した. 亀裂を認めた症例をCTで亀裂部位, 周囲解剖構造との関係, 出現前後の周囲の骨変化について評価し, それに臨床的所見として原発部位, 照射法, 線量, 線源, 照射から出現までの期間, 手術法, 放射線骨壊死(以下骨壊死)の有無について検討を加えた. 結果:放射線治療後に皮質骨亀裂所見のみられたものは8症例であり, 原発部位は舌又は口底, 術後照射6例, 照射単独が2例, 亀裂部位の線量は組織内照射併用例は亀裂部位の線量の不明であったが外照射症例は50Gyもしくは60Gyであった. 照射から亀裂出現までの期間は6-31ヶ月, 平均17.3ヶ月であった. 手術侵襲と関連している症例が多かった. 亀裂部位はすべて下顎舌側皮質骨の筋付着部位であり, 大部分は亀裂出現前に若干の骨硬化像の出現があった. 観察期間は短いが亀裂出現後に骨壊死を生じた症例は2例のみであった. 結論:亀裂出現部位は手術操作された筋の筋付着部が多く照射野内であることから放射線治療後の皮質骨亀裂所見は放射線治療や手術による血管の障害に起因する皮質骨の低栄養, 低酸素により惹起される骨変化であると推測された. この所見の放射線障害のpredictorとしての意義について考察する. |
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| ISSN: | 0389-9705 |