気管支動脈造影で腫瘍濃染像を呈し肺腫瘍が疑われた肺膿瘍の1例

症例は47歳, 女性. 主訴は喀血. 胸部X線像で右心横隔膜角部にconsolidationを認め, 胸部CTでは右S^10 に径3cmの境界鮮明で内部均一な結節影を認めた. 気管支鏡検査では右B^9 に出血を認め入院後も喀血が持続したため, 肺動脈造影, 気管支動脈造影を施行. 肺動脈造影で右S^10領域の毛細血管相のdefectを認め, 気管支動脈造影で右気管支動脈下枝にhypervascularityを認めPAへのシャントと腫瘍濃染様所見を認めた. 肺腫瘍を疑い開胸手術施行, S^10 に硬い結節性病変を認め, 肉眼的に黄色の膿瘍と診断され, 内部の膿からは嫌気性菌が分離培養され, 病理...

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Published in気管支学 Vol. 21; no. 1; pp. 72 - 73
Main Authors 児浦利哉, 高橋典明, 松本建志, 庄田利明, 升谷雅行, 堀江孝至, 古賀守, 羽賀直樹, 並木義夫, 北村一雄, 大森一光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.01.1999
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は47歳, 女性. 主訴は喀血. 胸部X線像で右心横隔膜角部にconsolidationを認め, 胸部CTでは右S^10 に径3cmの境界鮮明で内部均一な結節影を認めた. 気管支鏡検査では右B^9 に出血を認め入院後も喀血が持続したため, 肺動脈造影, 気管支動脈造影を施行. 肺動脈造影で右S^10領域の毛細血管相のdefectを認め, 気管支動脈造影で右気管支動脈下枝にhypervascularityを認めPAへのシャントと腫瘍濃染様所見を認めた. 肺腫瘍を疑い開胸手術施行, S^10 に硬い結節性病変を認め, 肉眼的に黄色の膿瘍と診断され, 内部の膿からは嫌気性菌が分離培養され, 病理学的検索から真菌感染が示唆された. 気管支動脈造影で腫瘍濃染像を呈する肺膿瘍は比較的稀であると考えられた.
ISSN:0287-2137