環軸椎回旋位固定の治療方針の検討

「背景, 目的」環軸椎回旋位固定は時に再発や難治性の例があるが, 現在明確に治療方針を言及した報告は少ない. 当科で経験した症例から治療方針を検討した. 「対象と方法」1989年1月から2006年1月の67例(男性36例, 女性31例)について調査した. 平均年齢6.28歳, 観察期間は平均2カ月, 初診までの期間は平均2.84日であった. 発症原因は康野らの分類を改訂して用い, major trauma(交通事故, スポーツなど)26例, minor trauma(日常動作, 誘因なしなど)23例, 頚部の炎症が7例であった. Fieldingの分類ではtype Iが41例, type II...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 56; no. 2; p. 308
Main Authors 野山めぐみ, 山田圭, 神保幸太郎, 朴珍守, 佐藤公昭, 永田見生, 田中順子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2007
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ISSN0037-1033

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Summary:「背景, 目的」環軸椎回旋位固定は時に再発や難治性の例があるが, 現在明確に治療方針を言及した報告は少ない. 当科で経験した症例から治療方針を検討した. 「対象と方法」1989年1月から2006年1月の67例(男性36例, 女性31例)について調査した. 平均年齢6.28歳, 観察期間は平均2カ月, 初診までの期間は平均2.84日であった. 発症原因は康野らの分類を改訂して用い, major trauma(交通事故, スポーツなど)26例, minor trauma(日常動作, 誘因なしなど)23例, 頚部の炎症が7例であった. Fieldingの分類ではtype Iが41例, type IIが16例, type IIIが1例, CT施行できず分類不能が9例であった. また, 治療については頸椎カラー固定のみの施行が21例, 固定後Glisson牽引の施行が8例, 初診からGlisson牽引の施行が4例であった. これらの症例についてその予後について検討した. 「結果」Fieldingの分類, 発症要因, 治療法(カラー固定v.s Glisson牽引), Glisson牽引の期間, Glisson牽引後の外固定の有無について再発率の有意差は認められなかったが, 約1週間のGlisson牽引をした方が再発が少ない傾向を認めた. また, Glisson牽引後に外固定を施行した方が再発が少ない傾向にあった. 「考察」早期診断, 早期治療が必須である. Fielding type IおよびIIで発症4週間以内の症例はまず外来にてカラー固定を施行する. 症状の改善があれば, 更に1週間追加し, 症状の改善が得られなければGlisson牽引を1週間施行する. 再発例で症状が重症なもの, 発症後4週間経過した症例は初診時より入院にてGlisson牽引をまず1週間施行し, 症状の改善が得られればカラー固定を2週間施行する. Glisson牽引を2週間施行しても症状改善得られない症例はHalo牽引や徒手整復, 手術などを考慮されるべきである.
ISSN:0037-1033