ロービジョン者用補助具の保有率と有効利用度について

【目的】ロービジョン補助具は年々便利なものが商品化され, 実に様々なものがあるが, 視覚障害者がそれらを本当に使いこなせているのかどうかは不明である. もし使いこなせていない場合, 原因は何なのかを明らかにすることが本研究の目的である. 【方法】JRPS(日本網膜色素変性症協会)とちぎ支部の協力を得, 会員49名にアンケート調査を実施した. アンケートは墨字によるものとし, SPコードをつけるなどの工夫をした. 【結果】JRPSとちぎ会員49名中, 29名(回収率60%)の回答があった. 29名の内訳は, 男性17名, 女性12名である. 視覚補助具の保有率は97%であった. 補助具の保有数は...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 38; p. 350
Main Authors 三柴恵美子, 平塚英治, 小町祐子, 鈴木賢治, 新井田孝裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本視能訓練士協会 30.11.2009
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ISSN0387-5172

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Summary:【目的】ロービジョン補助具は年々便利なものが商品化され, 実に様々なものがあるが, 視覚障害者がそれらを本当に使いこなせているのかどうかは不明である. もし使いこなせていない場合, 原因は何なのかを明らかにすることが本研究の目的である. 【方法】JRPS(日本網膜色素変性症協会)とちぎ支部の協力を得, 会員49名にアンケート調査を実施した. アンケートは墨字によるものとし, SPコードをつけるなどの工夫をした. 【結果】JRPSとちぎ会員49名中, 29名(回収率60%)の回答があった. 29名の内訳は, 男性17名, 女性12名である. 視覚補助具の保有率は97%であった. 補助具の保有数は1人平均約4個であり, 最多で13個保有していた方もいた. 保有している補助具は多いものから順に, 遮光眼鏡19名(65.5%), 白杖17名(58.6%), 携帯用ルーペ16名(55%), 拡大読書器41名(41%)であった. 有効利用されているもので最も多かった理由は, 使用法が簡便であること, 自分の眼の状態に合っていることがあげられた. また, 有効利用されていない理由として, 眼の状態に合っていないこと, 使用法の説明や訓練の不足が多かった. JRPSとちぎ会員が補助具を手に入れるのは公的機関からが最も多く, 公的機関の担当者の視覚補助具に対する知識が望まれることがわかった. また, 使用法の説明や訓練, アフターケアも有効利用するために必要であることがわかった. 【考察】今回アンケートを実施した人数が少なかったこともあり, 結果から結論を導き出すには至らなかったが, 視覚補助具を有効に活用できない理由の一つに, 行政担当職員の視覚補助具に対する知識不足が考えられた. 申請をすれば現物を提供してくれるが, その後のフォローアップが不十分であるという現状は, 今後改善する必要があるのではないかと思われる.
ISSN:0387-5172