脳卒中片麻痺患者の入院中の骨密度に関する研究

「目的」脳卒中片麻痺で入院リハビリテーションを行った患者の, 腰椎・大腿骨頸部の骨密度を測定し, 骨密度の変化に影響する個人属性や身体機能について検討すること. 「対象」1997年5月~2000年1月にリハを受けた50名を対象とした. 女性15名, 男性35名. 平均年齢は65.2±10.5歳. 入院までの平均罹病期間は55.5±24.6日. 麻痺側は右26名, 左24名. 入院中の骨密度測定間隔は75.8±28.3日であった. 「方法」入院時と退院時に, 腰椎と両側大腿骨頸部の骨密度を測定した. 測定機器はHologic社の全身骨密度測定装置QDR4500Aを使用した. 身体所見は体重, B...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 1114
Main Authors 大井直往, 藪越公司, 岩谷力, 飛松好子, 吉田一成, 漆山裕希, 近藤健男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」脳卒中片麻痺で入院リハビリテーションを行った患者の, 腰椎・大腿骨頸部の骨密度を測定し, 骨密度の変化に影響する個人属性や身体機能について検討すること. 「対象」1997年5月~2000年1月にリハを受けた50名を対象とした. 女性15名, 男性35名. 平均年齢は65.2±10.5歳. 入院までの平均罹病期間は55.5±24.6日. 麻痺側は右26名, 左24名. 入院中の骨密度測定間隔は75.8±28.3日であった. 「方法」入院時と退院時に, 腰椎と両側大腿骨頸部の骨密度を測定した. 測定機器はHologic社の全身骨密度測定装置QDR4500Aを使用した. 身体所見は体重, Brunnstrom stage,Barthel Index, 体幹下肢運動年齢, 10m最大歩行速度を測定した. 入院時と退院時での骨密度の変化量と, 年齢, 性別, 麻痺側別, 入院時の第3腰椎骨密度別で骨密度の変化量の差, 身体所見と骨密度の変化量との相関関係の有無を検定した. そして骨密度の変化量にもっとも影響を及ぼす要因を抽出した. 「結果・考察」入院中の骨密度は, 腰椎・患側大腿骨頸部・健側大腿骨頸部ともに, 退院時で有意に減少し, 特に患側大腿骨頸部で強い減少がみられた. 患側大腿骨頸部骨密度の減少には, Brunnstrom stageで示される麻痺の重度なこと, 入院時の全身の骨密度が低いこと, 入院中の経過期間が長いことが要因として示された. 健側大腿骨頸部・転子部の骨密度の減少は, Brunnstrom stageで示される麻痺の強さよりも, Barthel index・体幹下肢運動年齢といったdisabilityレベルの障害の強さに相関係数が高かった.
ISSN:0034-351X