顎関節部に発生したchondrosarcomaの1例
今回, 我々は画像所見および摘出標本から左側上関節腔から発生したと推測されたchondrosarcomaを経験したので報告する. 患者は28歳男性. 10年以上前から左側顎関節部に腫脹を自覚していたが, 腫脹の増大と自発痛の出現を主訴に1998年3月12日, 新潟大学歯学部附属病院を受診した. 初診時のパノラマX-Pにて左側下顎枝上方が消失し, 関節窩にも不規則な骨透過像を認めた. CTでは左側側頭下窩を占拠する造影される腫瘍性病変を認めた. 病変の内部は不均一で, 造影される軟組織や淡い骨様densityを示す石灰化像が散在していた. 骨表示では側頭骨関節結節に不規則な骨吸収像が認められた....
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| Published in | 歯科放射線 Vol. 39; no. 3; p. 171 |
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| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本歯科放射線学会
30.09.1999
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| ISSN | 0389-9705 |
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| Summary: | 今回, 我々は画像所見および摘出標本から左側上関節腔から発生したと推測されたchondrosarcomaを経験したので報告する. 患者は28歳男性. 10年以上前から左側顎関節部に腫脹を自覚していたが, 腫脹の増大と自発痛の出現を主訴に1998年3月12日, 新潟大学歯学部附属病院を受診した. 初診時のパノラマX-Pにて左側下顎枝上方が消失し, 関節窩にも不規則な骨透過像を認めた. CTでは左側側頭下窩を占拠する造影される腫瘍性病変を認めた. 病変の内部は不均一で, 造影される軟組織や淡い骨様densityを示す石灰化像が散在していた. 骨表示では側頭骨関節結節に不規則な骨吸収像が認められた. 下顎枝は圧迫吸収像を呈していた. MR冠状断像にて腫瘍性病変は顎関節部を中心に下顎枝を覆うように上方および内外側に膨隆していた. 病変の上方は側頭骨関節結節を破壊して中頭蓋窩に進展しており, 脳実質と接していた. 内側は外側翼突筋を圧排して剄静脈に接していた. 外側へは側頭筋, 耳下腺, 咬筋を圧排して膨隆していた. 病変の境界は総じて明瞭であった. 病変内部は造影後T1-WIで造影される高信号域と低信号域が混在し, 不均一であった. プロトンおよびT2-WIでは全体的に不均一な高信号を呈していた. 画像所見から側頭下窩に発生した軟骨肉腫と診断した. 病理所見では軟骨様, 粘液基質を背景とした, 大小不同の円形の軟骨小腔様構造内に軟骨細胞異型が認められた. 細胞異型は明かで石灰化傾向も確認され, 軟骨肉腫と診断された. さらに, 摘出物の冠状断標本とMR冠状断像にて発生部位について検討した. その結果, 摘出標本に関節円板およびその直下に下関節腔が確認され, 腫瘍は上関節腔の滑膜組織から発生して上関節腔を押し広げ側頭骨を破壊して中頭蓋窩へ進展したと推測された. |
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| ISSN: | 0389-9705 |