輸血により抗赤血球抗体産生が誘発されたと思われる血管腫の一症例について

「経過」 生来健康の女性. 1999年6月に貧血のため当院婦人科外来を受診した. 来院時は妊娠歴および輸血歴はなかった. 抗体スクリーニングも陰性であった. 卵巣嚢腫(血管腫)がみつかり切除. 貧血改善のためFe剤投与と輸血を施行し貧血の改善が認められた. その後, 再度貧血が増悪し, 2000年10月当院外科受診. 多発性の血管腫を認めた. 貧血に対し, 輸血を施行したが抗E+c抗体, 抗Jk^a 抗体とつぎつぎと同種抗体が産生された. これら抗原を一致させた輸血を施行したが, 溶血所見(LDH 1282 IU/リットル, GOT 65 IU/リットル, TBil 5.2 mg/dl)がみら...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 237
Main Authors 宮下恵美子, 高橋強志, 高崎佳苗, 川端みちる, 名倉豊, 日暮公野, 早川雅之, 曽根伸治, 奥山マチ子, 平井久丸, 柴田洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.2001
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ISSN0546-1448

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Summary:「経過」 生来健康の女性. 1999年6月に貧血のため当院婦人科外来を受診した. 来院時は妊娠歴および輸血歴はなかった. 抗体スクリーニングも陰性であった. 卵巣嚢腫(血管腫)がみつかり切除. 貧血改善のためFe剤投与と輸血を施行し貧血の改善が認められた. その後, 再度貧血が増悪し, 2000年10月当院外科受診. 多発性の血管腫を認めた. 貧血に対し, 輸血を施行したが抗E+c抗体, 抗Jk^a 抗体とつぎつぎと同種抗体が産生された. これら抗原を一致させた輸血を施行したが, 溶血所見(LDH 1282 IU/リットル, GOT 65 IU/リットル, TBil 5.2 mg/dl)がみられた. Hb50g/dlとなり輸血の準備を行ったが, 直接クームス試験が陽性となり, 血清中の自己抗体の産生も確認されたため輸血を中止してステロイド療法による治療を開始した. 「考察」 本症例は適合血を輸血をするたびに赤血球に対する同種抗体が産生されそのうえ自己抗体の産生を示すようになった患者である. 輸血による何らかの刺激が, 抗赤血球抗体産生を誘発する要因となったのではないかと考えている. 現在血液内科に入院し精査中である.
ISSN:0546-1448