脳卒中患者の最大呼気流速の測定
「目的」有効な咳には, 一定量以上の呼気流速が必要であり, 最大呼気流速(PEF)は, 気道分泌物を除去する機能の指標として用いられている. 今回は, 脳卒中患者のPEFの測定を試み, 健常成人の標準値と比較した. 「対象と方法」閉塞性肺疾患の既往がない脳卒中片麻痺患者44名(男性27名, 女性17名, 平均年齢63.8歳)を対象とした. 1名を除き嚥下障害はなかった. PEFは, Clement Clarke社製ベンチロメーターを用いて座位にて測定した. 2-3試行の最大値を記録して, 身長および年齢から求められる日本人のピークフロー標準値(月岡)に対する百分率(%PEF標準値)を求めた....
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; pp. 1022 - 1023 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.1999
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 「目的」有効な咳には, 一定量以上の呼気流速が必要であり, 最大呼気流速(PEF)は, 気道分泌物を除去する機能の指標として用いられている. 今回は, 脳卒中患者のPEFの測定を試み, 健常成人の標準値と比較した. 「対象と方法」閉塞性肺疾患の既往がない脳卒中片麻痺患者44名(男性27名, 女性17名, 平均年齢63.8歳)を対象とした. 1名を除き嚥下障害はなかった. PEFは, Clement Clarke社製ベンチロメーターを用いて座位にて測定した. 2-3試行の最大値を記録して, 身長および年齢から求められる日本人のピークフロー標準値(月岡)に対する百分率(%PEF標準値)を求めた. また, PEFと非麻痺側握力ならびに日常生活の活動性との関係を調べた. 「結果」1)脳卒中患者のPEF(リットル/min)は, 男性387.4±101.1, 女性260.9±70.0であり, %PEF標準値は男性70.8±!8.3, 女性64.7±17.1であった. 2)PEFと非麻痺側握力との間には弱い相関(γ=0.27, ρ<0.1)を認めた. 3)対象者の活動性は, 屋外歩行22名, 屋内歩行18名, 介助歩行/不能4名であった. PEFは活動性によって有意に異なっていた(post hoc test, ρ<0.01). 「結論」脳卒中患者のPEFは健常成人と比べて低下しており, 日常生活の活動性と関係していることが示された. |
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ISSN: | 0034-351X |