待機的外科手術における赤血球製剤準備量の推移

目的：近年, 自己血輸血の導入や同種血輸血に対する意識改革により, 血液の依頼や使用状況に変化が現れ, 待機的外科手術におけるT&Sの適応術式や術前血液準備量の見直しが必要と推察される. そこで, 赤血球製剤の適正な準備法について検討した. 対象及び方法：1988年6月～2000年5月の間の待機的外科手術20,122例を対象とした. 全術式で, T&S実施数, 術前クロスマッチ単位数, 輸血単位数, 及びC／T比の推移を, また, 術式別に, 平均輸血単位数, 平均術前準備単位数の推移を検討した. 結果及び考察：T&Sの件数は94年まで年々増加していたが, その後はほぼ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 1; p. 59
Main Authors 小森浩美, 上野裕美, 井上寛之, 笹田裕司, 芦原英司, 辻肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.02.2001
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ISSN0546-1448

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Summary:目的：近年, 自己血輸血の導入や同種血輸血に対する意識改革により, 血液の依頼や使用状況に変化が現れ, 待機的外科手術におけるT&Sの適応術式や術前血液準備量の見直しが必要と推察される. そこで, 赤血球製剤の適正な準備法について検討した. 対象及び方法：1988年6月～2000年5月の間の待機的外科手術20,122例を対象とした. 全術式で, T&S実施数, 術前クロスマッチ単位数, 輸血単位数, 及びC／T比の推移を, また, 術式別に, 平均輸血単位数, 平均術前準備単位数の推移を検討した. 結果及び考察：T&Sの件数は94年まで年々増加していたが, その後はほぼ同じレベルで推移していた. 自己血輸血の増加に伴い, 同種血輸血の減少を認めた. C／T比は2.4前後で推移していた. 大部分の術式で, 自己血を含む術中平均輸血単位数は減少を認めた. 平均輸血単位数の少ない術式で, 平均術前準備単位数が, 過剰と思われる傾向にあった. 脳腫瘍摘出術及び全人工膝関節置換術はT&Sで手術可能と考えられ, 大多数の術式で血液準備量を減らすことができると推測された. 赤血球製剤準備量の設定は, 一定の期間毎に見直す必要があると考えられた.
ISSN:0546-1448