胆汁うっ滞症におけるグルカゴン投与後のcyclic AMPの応答性

肝内胆汁うっ滞症6例にグルカゴンを1μg/kg経静脈的に投与し血漿c-AMPの経時的推移を観察した.早朝空腹時の血漿c-AMP濃度は有意に高く,グルカゴン負荷後の血漿c-AMPの応答性も肝内胆汁うっ滞症では高応答性が明らかであった.in situ肝灌流装置によりグルカゴン1.92ng/min.持続注入によるc-AMPの応答性は胆管を結紮しても無処置ラットと差はなく,ethynyl estradiol 5mg/kg投与5日後のラットは高応答性を示した.以上の成績から肝内胆汁うっ滞症でのグルカゴン負荷後の血漿c-AMPの高応答性は胆道路の遮断によるc-AMPの血中への逆流の結果ではなく,胆汁うっ滞...

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Published in肝臓 Vol. 23; no. 3; pp. 285 - 289
Main Authors 吉田, 隆雄, 宮崎, 保, 種田, 裕昭, 松嶋, 喬, 前久保, 博士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.03.1982
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.23.285

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Summary:肝内胆汁うっ滞症6例にグルカゴンを1μg/kg経静脈的に投与し血漿c-AMPの経時的推移を観察した.早朝空腹時の血漿c-AMP濃度は有意に高く,グルカゴン負荷後の血漿c-AMPの応答性も肝内胆汁うっ滞症では高応答性が明らかであった.in situ肝灌流装置によりグルカゴン1.92ng/min.持続注入によるc-AMPの応答性は胆管を結紮しても無処置ラットと差はなく,ethynyl estradiol 5mg/kg投与5日後のラットは高応答性を示した.以上の成績から肝内胆汁うっ滞症でのグルカゴン負荷後の血漿c-AMPの高応答性は胆道路の遮断によるc-AMPの血中への逆流の結果ではなく,胆汁うっ滞症による肝細胞の膜変化がグルカゴンに対して高応答性を示すようになることが示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.23.285