手術時輸血に伴うHGV感染の検討

【目的】輸血に関連した肝炎ウイルスとして, G型肝炎ウイルス(HGV)が発見されたが, その臨床病態は不明な点が多い. 手術時輸血によるHGV感染につき検討したので報告する. 【対象・方法】手術時輸血を施行した125例について, 術前から術後4週まで1週ごとにRT-PCRにて血中HGV-RNAを検出し, 陽性例では引き続き経過観察した. 【結果】125例に手術時756人から1628単位の輸血が行われた. 術前既陽性の2例のほかに, 術後8例でHGV-RNAが陽性化した. 輸血製剤の検索を行った3例ではHGV陽性製剤が検出され, 輸血にともなう感染と診断された. 8例のうち6例は術後4週以後もH...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 156
Main Authors 藤原俊文, 二神信夫, 加藤尚美, 飯塚久雄, 田中建志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1998
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】輸血に関連した肝炎ウイルスとして, G型肝炎ウイルス(HGV)が発見されたが, その臨床病態は不明な点が多い. 手術時輸血によるHGV感染につき検討したので報告する. 【対象・方法】手術時輸血を施行した125例について, 術前から術後4週まで1週ごとにRT-PCRにて血中HGV-RNAを検出し, 陽性例では引き続き経過観察した. 【結果】125例に手術時756人から1628単位の輸血が行われた. 術前既陽性の2例のほかに, 術後8例でHGV-RNAが陽性化した. 輸血製剤の検索を行った3例ではHGV陽性製剤が検出され, 輸血にともなう感染と診断された. 8例のうち6例は術後4週以後もHGV-RNAが検出され, 最長1年持続している. 2例では一過性で術後2~3週目には陰性化し, 以後検出されていない. HGV-RNAは6例で術後1週の早い時期に検出された. HGV感染例は非感染例115例と比較して1例当り供血者数(13.5±9.1vs5.5±5.7, p<0.05 Weich のt検定)は多かった. 術後一過性のGPT増加はHGV感染例では8例中3例に, 肝疾患合併を除くHGV非感染例では86例中10例にみられたが, 厚生省輸血後感染症研究班の基準(1996年)による輸血後肝炎はHGV非感染例の1例のみであった. 【結語】手術時輸血にともなうHGV感染につき検討した. 既感染例2例を除く123例中8例にHGV感染がみられ, 6例は持続感染, 2例は一過性感染であった. HGV感染群で供血者数が多く, かつ調査できた例では輸血製剤よりHGVが検出された. HGVは輸血後早期より血液中に検出された.
ISSN:0546-1448