イントロダクション「顎骨骨髄炎」

「骨髄炎」と言う言葉を聞くとき, 歯科放射線に所属し画像診断に携わっている人なら誰しも一つや二つは心の傷があるのではないかと思う. すぐに下顎骨の小大臼歯部あるいは下顎枝部にかけての広範なび漫性の骨破壊を伴う透過像が目に浮かび, 「多分そうなんだけど」などと思いながら少しばかり緊張感を漂わせ背筋をのばして写真に見入り, 一生懸命所見の文章を考え「骨髄炎」というimmpressionを書き込んではみたものの, 生検の結果は悪性腫瘍だったり, あるいは逆に「悪性腫瘍」と考えた症例が骨髄炎だったりと, いずれにしても肩を落としたという過去の記憶が蘇ってくる. 今回パネルディスカッションのテーマとして...

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Published in歯科放射線 Vol. 41; no. 3; p. 178
Main Author 藤田實
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 30.09.2001
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ISSN0389-9705

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Summary:「骨髄炎」と言う言葉を聞くとき, 歯科放射線に所属し画像診断に携わっている人なら誰しも一つや二つは心の傷があるのではないかと思う. すぐに下顎骨の小大臼歯部あるいは下顎枝部にかけての広範なび漫性の骨破壊を伴う透過像が目に浮かび, 「多分そうなんだけど」などと思いながら少しばかり緊張感を漂わせ背筋をのばして写真に見入り, 一生懸命所見の文章を考え「骨髄炎」というimmpressionを書き込んではみたものの, 生検の結果は悪性腫瘍だったり, あるいは逆に「悪性腫瘍」と考えた症例が骨髄炎だったりと, いずれにしても肩を落としたという過去の記憶が蘇ってくる. 今回パネルディスカッションのテーマとして「顎骨骨髄炎」が取り上げられたのは, このような背景を察しつつ, それでは画像診断上の決定打といえる所見・変化はないものか, あるならどのような所見か, 病態を把握するのに重要な事項としてどのようなことがあるのか, また, 鑑別, 特に悪性腫瘍との鑑別に際してどのような所見に着目すれば良いのか, などの疑問に対して, 日頃深く考えられておられる方々にお話頂こうという主旨で計画された.
ISSN:0389-9705