某大規模事業所における大臼歯欠損率について‐長期にわたる欠損増加率からみる職域での歯牙喪失動態

定年までに歯牙が喪失する割合を縦断的に大規模に追跡し, 職域での喪失動態について明らかにすることを目的とした. 1985と2002年度の両方の歯科健診を受診した某製造業事業所の従業員のうち, 43歳以下の3,192人(男2,242人, 女950人)が対象者である. 第一, 二大臼歯について, 17年後の欠損増加率を算出した. 上顎第二大臼歯では, ベースラインに対して右側で3.45倍, 左側で2.76倍と部位別では最も大きい欠損増加率であった. 下顎第一大臼歯ではベースラインに対して1.61倍, 1.56倍と上顎ほどではないが大きく増加していた. 下顎第二大臼歯, 上顎第一大臼歯ともに2~2....

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 55; no. 2; pp. 126 - 127
Main Authors 曽山善之, 中川秀昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔衛生学会 30.04.2005
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ISSN0023-2831

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Summary:定年までに歯牙が喪失する割合を縦断的に大規模に追跡し, 職域での喪失動態について明らかにすることを目的とした. 1985と2002年度の両方の歯科健診を受診した某製造業事業所の従業員のうち, 43歳以下の3,192人(男2,242人, 女950人)が対象者である. 第一, 二大臼歯について, 17年後の欠損増加率を算出した. 上顎第二大臼歯では, ベースラインに対して右側で3.45倍, 左側で2.76倍と部位別では最も大きい欠損増加率であった. 下顎第一大臼歯ではベースラインに対して1.61倍, 1.56倍と上顎ほどではないが大きく増加していた. 下顎第二大臼歯, 上顎第一大臼歯ともに2~2.5倍の増加率であった. 長期の追跡で上顎第二大臼歯が職域で最も欠損増加率が大きいことが明らかになった. 歯周病などがある程度進行した後の喪失抑制は困難であることから, 40歳以前における上顎第二大臼歯に対しての何らかの対策が必要と考えられる.
ISSN:0023-2831