Rho(D)陰性で直接抗グロブリン試験が陽性を示した自己免疫性溶血性貧血の一例

【目的】Rho(D)陰性の自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の患者で直接抗グロブリン試験(DAT)が強陽性を呈し, ポリクロナール抗D血清およびRhコントロール血清ともに陽性を示した症例を報告する. 【症例】47歳, 女性. 輸血歴, 妊娠歴は無し. 平成4年2月入院時の検査成績はRBC:171×10^4 /μlHct:19.6%, Hb:4.5g/dl, Ret:425%. 間接Bil:4.1mg/dlであった. 免疫血液検査ではLEテスト, 抗核抗体, 梅毒定性(RPR-CT)は陽性. 抗リンパ球抗体は弱陽性, PAIgG:37.1ng/10^7 cellと上昇, 血清補体価はC_3 :38...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 416
Main Authors 篠原紀美代, 渡邊博文, 李悦子, 廣瀬政雄, 小阪昌明, 永尾暢夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1993
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】Rho(D)陰性の自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の患者で直接抗グロブリン試験(DAT)が強陽性を呈し, ポリクロナール抗D血清およびRhコントロール血清ともに陽性を示した症例を報告する. 【症例】47歳, 女性. 輸血歴, 妊娠歴は無し. 平成4年2月入院時の検査成績はRBC:171×10^4 /μlHct:19.6%, Hb:4.5g/dl, Ret:425%. 間接Bil:4.1mg/dlであった. 免疫血液検査ではLEテスト, 抗核抗体, 梅毒定性(RPR-CT)は陽性. 抗リンパ球抗体は弱陽性, PAIgG:37.1ng/10^7 cellと上昇, 血清補体価はC_3 :38mg/dl, C_4 :6mg/dl, CH_50 :12.U/ml以下と低下がみられた. 血液型検査において数社のポリクロナール抗D血清, Rhコントロール血清に凝集を認めた. DATでは多特異ヒト血清, 抗IgGに3+, 抗IgAは2+, 抗C3b/C3dは1+, 抗IgMは-であった. Rh式をふくむ血液型判定のためクロロキン2燐酸溶液で赤血球結合免疫グロブリンを除去(除去の確認は多特異ヒト血清および抗IgGのDATで陰性, 抗C3b/C3dは1+)し, 抗IgG血清による間接抗グロブリン試験(IDAT)で血液型判定を行なった結果, A_1 , ccdee, P_1 , Le^a-b- , kk, NNSS, Fy^a+b- , Lu^a-b+ , Di^a-b+ であった. 血清中の抗体検査はスクリーニング血球および, -D-, Rh null, 血球の反応はIDATですべて陰性であったが, Ocordと自己血球は3+であった. そこで血球をDT(ジクロロメタン)処理後の解離液中の抗体検査では-D-, Rh null, 市販の同定用パネルセルのすべてにIDATで凝集を示したことから血球感作抗体は血液型特異性のない抗d1抗体と確認された. 【考察】Rho(D)陰性の温式AIHAの患者では, ポリクロナール抗D, Rhコントロール血清とも陽牲となることがあり判定保留となる. 本症例は緊急時の輪血においてRho(D)陰性血液を選択するにより貧血の改善が見られた.
ISSN:0546-1448