脳卒中片麻痺患者の内反尖足変形に対する足趾屈筋腱前方移行術の予後調査

脳卒中片麻痺患者の足部変形に対する観血的療法はいくつかの方法が報告されており, それぞれにその有用性が認められているが, その適応, 術式などにまだ問題点も多く検討が必要とされている. 1981年以後の12年間に, 槌趾変形を伴う内反尖足変形に対し, 足趾屈筋腱前方移行術を施行した症例数は61例である. 術式は小野の原法に準じたが, 1986年以後の症例では長足趾屈筋腱のみ骨間膜を通し, 長母趾屈筋腱は内側の皮下を通して前方に移行した. 51例に術後経過年数平均5.4年の予後調査を行い, 次のような結果が得られた. 歩行時, 立脚期で内反尖足変形は全例矯正されたが, 遊脚期に軽度の変形再発が6...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 30; no. 11; pp. 867 - 868
Main Authors 藤原正敏, 千葉勝実, 小野幸子, 阪本次夫, 阪場貞夫, 大槻剛智, 星野昌伯, 三浦英男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.11.1993
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X

Cover

More Information
Summary:脳卒中片麻痺患者の足部変形に対する観血的療法はいくつかの方法が報告されており, それぞれにその有用性が認められているが, その適応, 術式などにまだ問題点も多く検討が必要とされている. 1981年以後の12年間に, 槌趾変形を伴う内反尖足変形に対し, 足趾屈筋腱前方移行術を施行した症例数は61例である. 術式は小野の原法に準じたが, 1986年以後の症例では長足趾屈筋腱のみ骨間膜を通し, 長母趾屈筋腱は内側の皮下を通して前方に移行した. 51例に術後経過年数平均5.4年の予後調査を行い, 次のような結果が得られた. 歩行時, 立脚期で内反尖足変形は全例矯正されたが, 遊脚期に軽度の変形再発が6例(11.8%)に認められた. 槌趾変形は母趾では全例矯正されたが, 他の足趾では短趾屈筋の過緊張による変形の再発が10例(19.6%)に認められた. 第4中足骨に骨吸収が生じて細くなる傾向が認められるが, 骨折をきたした症例はなかった. ほぼ全例に歩行能力の改善が認められ, 42症例(82.5%)は術後装具を必要としなくなり, 本人の満足度も高い. 本法は, 槌趾変形を伴う痙性内尖足変形にもっともよい適応があり, 良好な成績が長期間期待できる.
ISSN:0034-351X